Eivør ライブレポート 2018.04.28 (動画あり)

2018年4月28日にポーランドのカトヴィツェで行われたフェロー諸島出身のシンガーソングライターEivør Pálsdóttirのライブのレポートです。

Eivør

Eivørは、デンマーク領フェロー諸島出身のシンガーソングライターです。フルネームはEivør Pálsdóttir(アーヴォール・ポルスドッティル)です。音楽的教養が高く色々なジャンルからの影響を受けていて、言葉で言い表すのが難しい幅広く独特の音楽性を持っています。

私がポーランドに留学している間にこのEivørが留学先の街カトヴィツェに来るということを聞いて、すぐにチケットの購入について問い合わせ予約しました。会場は私の通っていた大学から徒歩で5分くらいの場所にあったので簡単でした。

実はEivørについては名前だけ知っていて曲をほとんど聴いたことがなかったのですが、評判は聞いていたのできっとすごいんだろうと思い観に行くことにしたのです。

結局ライブ前に聴いてみたのは数曲だけでしかも聴き込みはしませんでしたが、ほとんど知らない曲というライブも面白いだろうということで非常に楽しみにしていました。

このライブの前日にはポーランドのゴシックロック/メタルバンドClosterkellerのライブも観に行ったので、かなり贅沢したなと今になって思います。

会場はRialtoという映画館と劇場を兼ね備えた施設で、Eivørのライブはカトヴィツェのジャズフェスティバルのコンサートの一つとして位置づけられていました。このRialtoにはそれまで来たことがありませんでしたが、大学の授業が終わって街の中心部に向かうときには毎回横を通っていたのでなんとなく親しみのある場所です。

 

開演まで

私は開場時間がよくわからなかったので、かなり早く会場に到着しました。もう何人か建物の中にいたので他のお客さんもいるし大丈夫だなと安心していたのですが、後から全員関係者であることがわかりました。

本当の客も集まってくると、Eivørチームが到着したらしくRialtoのロビーに物販席が設置されました。私はせっかくだしCDを買ってみようと思い2015年発売の最新アルバム“Slør”と、2018年に出たばかりらしいライブアルバム“Live in Tórshavn”を購入。

さらにEivørのニュースレターに登録してEivørステッカーをもらおうという企画もあったので、自分のメールアドレスを書いてステッカーをもらってきました。欲しいかどうかは自分でもわからなかったのですが、登録して損することはないので一応です。

このライブのサポートはKonni Kassというフェロー諸島出身の若手女性ソロアーティストで、彼女のCDとLPも売られていました。

会場はライブハウスのようにホールになっていました。人はかなり入っていましたが、最前列をとろうとしている人があまりいなかったので私は悠々と最前列に場所を取って待ちました。

開演時間になるとまずカトヴィツェ・ジャズフェスティバルの主催者側の人が出てきてフェスティバルについてのお話があり、その後ライブが始まりました。

Konni Kass

オープニングアクトはKonni Kass。私は彼女のことを全く知らなかったので、どんな音楽なのか想像すらつきませんでした。

演奏時間は30分弱で4-5曲演奏したと思いますが、彼女が演奏するのはボーカル・シンセサイザー・サックスで、音楽にはEivørと共通する要素も見受けられました。見た目は典型的な北欧の女の子です。

セットリストのうち最後の曲は一部動画に収めたので貼っておきます。

Eivør

Eivørが登場した時の盛り上がりはかなりのものでした。私はファンと言えるほど知らないのに最前列で観ていいのかなと思ったほどです。
セットリストは次の通りです。私はライブ中一曲も曲名がわからなかったので後から調べました。
1. Mjørkaflókar
2. Brotin
3. Verð Mín
4. Lívsandin(新曲)
5. Salt
6. Rain
7. Bridges
8. Silvitni
9. Røttu Skógvarnir
10. Trøllabundin
11. Boxes
12. Tides
13. Í Tokuni
14. True Love

アンコール
15. Famous Blur Raincoat(Leonard Cohenのカバー)
16. Falling Free

このうちRain, Bridges, True Love, Falling FreeにはKonni Kassも参加していました。

Eivørの他にはドラム・コーラスを担当する男性と電子音を演奏する男性がステージにいて、3人編成でのライブでした。

Eivørがギターを弾く曲もありますが、ベースがなく時々ギターすらもなく、それらが電子音によってカバーされているというのは普段私が聴く音楽にないスタイルなのでこの時点で驚かされました。

最初に演奏されたのは”Slør”の収録曲である“Mjørkaflókar”ですが、この曲を聴いただけで私はEivørのファンになってしまいました。

海の中で鳴っているような音とユニークながらも美しいメロディが魅力的なこの曲ですが、何よりもEivørの歌唱力に圧倒されてしまったのです。こういう体験があったからかどうかはわかりませんが、”Mjørkaflókar”は私のお気に入りです。

途中からですが動画を撮りました。

続いて“Brotin”, “Verð Mín”と”Slør”からの曲が並びます。”Verð Mín”も好きなので動画を撮ればよかったなとYouTubeにアップするために動画を見返しながら思いました。”Slør”は名曲揃いです。

Eivørが新曲をやりますと言った後に演奏されたのは“Lívsandin”という曲で、もちろんEivørがタイトルを言ったときには聞き取れなかったのですがセットリストを確認した時に曲名を知ることができました。

“Lívsandin”の一部です。

次に演奏されたのは“Salt”で、フォーク色の濃い”Slør”の中でも特に印象的な響きを持った曲です。この曲では”Trøllabundin”で使われていることで有名な太鼓をEivørが取り出してきたのですが、ライブ前に”Trøllabundin”の動画を観ていても実際にこれが目の前に出てくると驚きました。演奏も鳥肌が立つほどのクオリティでした。

フルで撮れました。

ここからはKonni Kassを交えて英語歌詞による曲が2曲続きますが、“Rain”“Bridges”も覚えやすいメロディを持った曲でよりポップ的なので、当時Eivørの音楽に慣れていなかった私は聴きやすいなと思いました。

続く“Silvitni”(英語タイトルは”Surrender”)は英語で歌われました。この曲は”Slør”らしさとポップさが同居していて、家に帰ってから”Slør”を聴いた時に一曲目で流れてきてすぐにこれはライブでやってたなと気付きました。

フルで撮りました。この曲でも並外れた歌唱力を見せてくれています。

続いて演奏された“Røttu Skógvarnir”の印象はあまり覚えていません。ライブレポを書くのをだいぶサボってしまっていたので、ライブからちょうど半年経ってしまいました。

この曲の後で残りのメンバーは今から休憩ですとEivørが言ったのでMCでもするのかと思いましたが、彼女はまた太鼓を出してきました。そして“Trøllabundin”を演奏し始めたので驚きました。

“Trøllabundin”は”Slør”にも最後のトラックとして収録されていますが、2004年発売のアルバム”Eivør”に収録されたのが最初ということで前からあったんですね。最近Spotifyを契約して自分で持っている”Slør”, “Room”以外のアルバムも聴けるようになったのですがそのおかげで知りました。

自分の声と太鼓だけでここまでの音楽を奏でられるEivørは天才なのではないかと、この”Trøllabundin”の演奏を聴きながら思いました。

“Slør”の収録曲を聴いていても感じますが、Eivørの音楽は海から来ているのでしょう。”Trøllabundin”は特に巨大な海の鼓動を思わせます。それにしてもボイスパーカッションにも似た声によるリズムは衝撃的ですよね。

これもフルで撮りました。

続いては聴きやすいと同時にEivørの超人的な歌唱力が確認できる“Boxes”。”Room”というアルバムの収録曲ですが、このアルバムの中ではお気に入りの一つです。

このライブではアルバムと違うアレンジになっていて、最後に高音スキャットが足されていました。演奏の前置きとして、引っ越しをするときに断捨離をしながら自分はこんなに不要なものを持っていたんだと気付いた時のことを歌詞にしたと言っていたと思います。

途中からですが撮りました。

次に”Bridges”というアルバムの収録曲の“Tides”が演奏されましたが、この曲のことは覚えていません。

これが終わるとEivørが「次の曲では私と一緒に歌ってほしいワンフレーズがあります、簡単なので皆絶対歌えます」と次に演奏される曲について話し始めたので、私はフェロー語だったら歌えないと思うけどどうしようなどと考えていました。そう言ってEivørが教えてくれたそのワンフレーズはなんとこれ。

“Trøllabundin”にも使われていたボイスパーカッション的な何かです。皆で練習しましたがそもそもどうやって声を出しているのかわからないのでかなり難しかったです…。というわけで“Í Tokuni”は観客参加型になりました。

本編最後の曲は”Room”収録の“True Love”。結局このライブでは”Room”から4曲も演奏されました。

フルで動画を撮りました。

ライブが一旦終わり、ここからはアンコールになります。Eivørについてほとんど何も知らずにライブに来た私ですがすでにアンコールをできるだけ長くやってくれるように願っていました。

アンコールは2曲で、一曲目はEivørのお気に入りらしい“Famous Blue Raincoat”というLeonard Cohenの曲。確かに良い曲です。

二曲目はRoomの最後の曲である“Falling Free”。ライブの締めにふさわしいです。特にサビでのEivørの歌唱は圧倒的でした。アウトロに原曲にはない激しい演奏が加えられていて、ドラムが大迫力で感動しました。

全体ではありませんが2本動画を撮りました。アウトロも収められています。

最後に

このライブには大満足でした。この時Eivørを観たおかげでファンになり、それからよく彼女の音楽を聴いています。私が好きなジャンルとは雰囲気が全く違いますが、クオリティが高くいつでも楽しめます。本当にライブに行って良かったなと思います。

ライブ後には特別にロビーでEivørとファンの交流会が開催されました。列に並んで順番が来たら一人ずつ写真を撮ったり会話したりサインをもらったりできるというものでした。

ツーショットをお願いしている人が多かったです。Eivørを目の前にして顔がひきつったり全身震えたりしている人もいて、それだけEivørが好きなファンが今日はいっぱい来てるんだろうなと感じました。

私はライブの感想と翌日のクラクフでのライブに向けての応援の言葉を伝えた後、ツーショットではなく買ったCDへのサインと、一緒にライブに来たかったのに都合がつかず来れなかった彼女のためのサインをお願いしました。

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