Leprous: “Malina” アルバムレビュー

ノルウェーのメタルバンドLeprousのアルバム“Malina”(2018)のレビューです。

Leprousと”Malina”

Leprous(レプラス)はノルウェーのプログレッシブメタルバンドです。普通のメタルとは違い、複雑なリズムと変拍子、そしてクールな雰囲気を軸にした前衛的な音楽性を持っており、人気度も高いです。

私は2018年8月にポーランドのフェスでこのバンドを観ましたが、素晴らしいパフォーマンスでした。

この時はLeprousの曲を数曲しか聴いたことがなかったのですが、2, 3回聴いただけで頭の中にずっと残ってしまうメロディセンスと入り組んだ楽譜の演奏を難なくこなす技術に衝撃を受けました。

トラックリスト

  1. Bonneville – 5:29
  2. Stuck – 6:49
  3. From the Flame – 3:51
  4. Captive – 3:44
  5. Illuminate – 4:21
  6. Leashes – 4:10
  7. Mirage – 6:48
  8. Malina – 6:15
  9. Coma – 3:55
  10. The Weight of Disaster – 6:01
  11. The Last Milestone – 7:31

各曲レビュー

Bonneville

静かなオープニング。細かく複雑なリズムが特徴です。ヴァース部分では高いトーンのボーカルとコーラスワークが不安定な感じを醸し出しています。

クールなまま盛り上がっていきますが、本当のクライマックスは最後まで訪れません。

このサビといって良さそうなパートの歌メロは、一発で覚えられるほど特徴的でありながら同時に独創的です。Leprousの才能が窺えます。

ボーカルは男性でEinar Solbergという人ですが、噂に聴いていた通り素晴らしいボーカリストです。彼の歌唱力はずば抜けています。

Stuck

前曲より骨組みがしっかりして聴きやすい楽曲です。

独創的なキラーフレーズの連続に驚かされます。そしてサビではEinarの人間離れした歌唱を聴くことができます。個人的にギターもかっこいいなと思いました。

From the Flame

キーボードによる電子的なリフが印象的です。

この曲のサビは非常に強力で、私は一発でこの曲を忘れられなくなりました

また難しい変拍子も使われており、ライブで聴いた時も何がなんだかわかりませんでした。周りのLeprousファンは普通にノれていましたが…これだけ難しいリズムを使ってバンド全体がカチッと合うのは驚異的です。

また、音はメタル的であるものの涼しさが感じられます。こういうところからLeprous特有のインテリジェントな雰囲気が生まれているのではないでしょうか。

Captive

イントロから変拍子で畳みかけてきます。このリズムはCDが壊れているように聞こえるほどエグいです。

ただ楽曲としてそれ以外の要素を楽しめるかというと微妙なところだなと思いました。

Illuminate

この曲でも細かくリズムが刻まれています。上昇していくようなサビが特徴的ですが、個人的にはあまりこの曲に魅力を感じませんでした。

Leashes

珍しくテンポが遅く、バラード的にも聞こえます。

非常にエモーショナルな曲で、他の曲にはない粘っこさがあるなと思いました。

Mirage

ギターの同音連打をバックに進行する楽曲には浮遊感があります。不思議な雰囲気です。後半はスピード感のある半インストで、最初から最後まで爽快感を持って聴けます。

サビはキャッチーながらも独創的で、十分楽しめます。全体的に良いのですが、特にここがフックになっているなと思いました。

Malina

オーケストラ風のシンセが壮大な雰囲気を醸し出している前衛的な楽曲です。なぜ前衛的かというと、ドラムが連打を続けその上にボーカルが乗るという不思議な構成の音になっているからです。

全体的にシリアスな空気があり良いなと思いました。独創的な曲で、実際に聴かないと感覚がつかめないと思います。

Coma

高速変拍子に普通のテンポのボーカルが乗るという、またしても前衛的な要素を持っています。速いのか速くないのかわからなくなる気持ち悪い体験ができます。

このアンバランスさを持ちながらしっかりまとまっているところがLeprousの凄さではないでしょうか。

The Weight of Disaster

柔らかく浮遊感のある曲調とエモーショナルなサビが特徴です。

Einarの歌声には鬼気迫るものがあります。それにしてもこの人は綺麗な声をしていますね。

Leprousらしい要素もしっかり詰め込まれていて、この曲は非常に気に入りました。

The Last Milestone

ポストロックからの影響を受けたような、ゆったりとして幻想的な楽曲です。

ここまでとテイストが大きく異なることに驚かされますが、これはこれで美しくて良いです。

まとめ

正直に言うと、このアルバムは私の好みとは少し違うかなと思っています。それでも素晴らしいなと思う曲がいくつかありました。

このバンドが人気なのも頷けるな、と聴いていて思うような音楽なので、このようなスタイルが好みであればやはりハマると思います。

 

 

コメントを残す