ギリシャのバンドAmmosのアルバム“Ammos”(2007)のレビューです。
目次
Ammosについて
Ammos(アンモス)はギリシャのグループです。日本語で調べても英語で調べてもこのアーティストに関しての情報がなかなか出てきませんでした。私はギリシャ語ができないのでバンドのバイオグラフィを書けません。
ただし以前このアーティスト(同一のアーティストかどうかも定かではありませんが)の他のアルバムをレビューしたことがあります。この記事です。↓
今回はアーティスト名と同名のアルバムAmmosのレビューですが、前回のようなギリシャ文字での表記が見つからなかったので曲名などは全てラテン文字で書くことにします。
前回レビューしたアルバムは1998年、今回のアルバムは2007年の作品なのでかなりの時間が経っていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
トラックリスト
1. Gyrise Piso – 4:12
2. Epafi – 3:27
3. Mazi Sou Ola Einai Dinata – 3:45
4. To Tragoudi Tis Vrohis – 4:01
5. Oneira Tis Ammou – 4:18
6. Na Eisai Sto Plevro Mou – 3:34
7. Otan Svisei O Ilios – 4:30
8. Mono Ta Matia Sou – 3:41
9. Anapneo – 3:50
10. Oloi Gia Agapi Milame – 3:45
11. Gia Tin Kardia Pou Klaei – 5:50
各曲レビュー
Gyrise Piso
エレクトロニカ的なリズムが入っていて前のアルバムとかなり雰囲気が異なります。ボーカルも恐らく別の人になっていると思います。一瞬で以前よりポップらしくなったことがわかります。
メロディがかなりキャッチーで聴きやすいです。行き過ぎたピコピコ感はないので私でも少し現代的なポップまたはロックとして聴けました。全体的な雰囲気は明るいです。
Epafi
イントロはバリバリの電子音なので驚かされますが、歌が入る部分は普通のロックです。ロックというには少し音が軽い気もするので、ポップソングと言った方が良いかもしれません。元気が出るようなメロディなので、たまにはこういうのを聴くのも良いかなと思えます。
Mazi Sou Ola Einai Dinata
前の曲と同じようにギョッとさせられるようなイントロです。しかし歌が入ると良質で叙情的なバラードになります。サビの歌メロは不思議ですが、そのおかげで逆に引きつけられる気がしました。イントロの存在も相俟って少しミステリアスな雰囲気を持っている曲です。
To Tragoudi Tis Vrohis
アコースティックに始まります。男声ボーカルも入ってくる、落ち着いて良い雰囲気の曲です。ずっとこんな感じで終わるのかと思いきや後半はロック調になります。意外とそのエレキギターの音が良いのが印象的です。
Oneira Tis Ammou
feat. Alkistis Protopsaltiと書いてありますが、調べてみたところこの人はエジプト系の女声歌手であることがわかりました。楽曲自体はピアノの響きが美しい静かなバラードです。
ストリングスも良い雰囲気を出していて癒されます。歌っているのがこのAlkistis Protopsaltiだと思われますが、このボーカルも歌唱力があります。テレビで流れていてもおかしくないような曲です。
Na Eisai Sto Plevro Mou
非常にエレクトロニカ的でポップな曲です。聴いた印象はかなり良かったです。かっこいい系。4分に満たない曲だが構成もしっかりしています。こういうタイプの曲は普段全く聴かないのですが、これなら聴けるかもと思いました。
Otan Svisei O Ilios
再びバラード系に戻ります。ギターによるイントロは少しだけ前作のAfinontas Tin Kalypsoを想起させましたが、雰囲気が同じ名だけであの奇跡的なイントロの方がはるかに優れています。メインボーカルは男性で、サビでは女性が加わります。メロディは叙情的でかなり良いなと思いました。
Mono Ta Matia Sou
ブラス系のイントロがこの上なく明るいので私のような根暗音楽ファンは身構えてしまうでしょう。メインボーカルはまた男性で、軽やかな感じの曲です。サビでは女声ボーカルとのユニゾンになっていてこれも陽気です。個人的にはここまで明るいと逆に聴きにくいです。普通のポップソング。
Anapneo
憂鬱な楽曲。しっとりしていて、ギリシャ語によるボーカルを堪能できるような曲です。サビでは同じメロディが繰り返されるので印象に残りました。
Oloi Gia Agapi Milame
なんと男声ボーカルによるラップが入ります。これまでの9曲も色々な音楽性を見せていましたがこれにはさすがにびっくり。全体的に不思議な演出がされていて飲み込むのに時間がかかりました。
Gia Tin Kardia Pou Klaei
Oneira Tis Ammouと同じく、この楽曲にもAlkistis Protopsaltiが参加しています。不穏な響きが良いです。サビは少し演歌っぽい哀愁のあるメロディで、はっとさせられました。
まとめ
このアルバムの中だけでも音楽性の幅は広いですが、全体的な方向性が以前紹介したGefyra Protiと全然違うので本当に同じアーティストなのかと疑いを持ってしまいます。
急に別バンドになったかのような音楽性の転換をするバンドは少なくないですし、9年という歳月を考えるとまあ有り得るかなとも思うのですが、少なくともリスナーとしてはこの2枚のアルバムを全く違う気持ちで聴いています。
他にミニアルバムがあるようなのでこちらも聴いてレビューしようと思っています。