Assal: “Przyrzekam” 楽曲レビュー

ポーランドのプログレバンドAbraxasのボーカリストAssalのアルバムCiało i Duchに収録されている楽曲“Przyrzekam”の紹介です。

 

Assal

Assalは、ポーランドのプログレッシブロックバンドAbraxasやAnankeのボーカルであるAdam Łassa(アダム・ワスサ)のソロ名義です。Łassaをひっくり返してAssalになったようです。

この人の年齢をずっと知りたかったのですが、インターネットでポーランド語で探しても情報が見つかりませんでした。しかし、彼がオーディオブック担当で参加している同郷の詩人Marilliuszの詩集”The Presja”を買ったところ、そこに1969年生まれと書かれていました。

この人はバンドではボーカル専任なのですが、ソロではドラムをドラムマシンに頼る以外全ての楽器を自分で演奏しているようです。彼が楽器を弾けるとは知りませんでした。しかしそのためか、それとももともと趣味がこちら側なのか、Abraxasのように難しい曲はなく常に穏やかな音楽を作っています。

Ciało i Duchというアルバム

ソロでの1stアルバムが2015年発売のCiało i Duch(チャウォ・イ・ドゥフ)で、AbraxasやAnankeの不穏でダークな音楽性からは想像できないような驚くほどヒーリング系のアルバムです。

楽曲レビュー

このPrzyrzekam(プシジェカム: 意味は「約束するよ」)もその系統で、スローテンポの静かな演奏をバックに自分で声を何重にも重ねて聴かせる曲です。

この人は特徴的な声をしていますが、それが平気ならしっかり癒されるはずです。ポーランド語がわからなくても雰囲気は感じられるでしょう。

この曲はアルバムのラストから2曲目に配置されていて、次の曲が3分に満たないエピローグ的な曲なのでこのPrzyrzekamはアルバムの実質ラストとなる自信作なのだと思います。

なお、このアルバムからは4曲目の”Campo de Fiori”、8曲目の”Każdy Myśli, Że…”と13曲目の”Przyrzekam”のみMVが制作されています。

元々、安定感がないという意味で歌があまり上手くなく、むしろ個性で聴かせてきたASSAL氏ですが、このアルバムを聴いたときにこのような音楽をやるために少し歌唱力を磨いてきた印象も受けました

ライブもあまりしておらず、音楽だけで食べていけるアーティストではないはずなので精力的に活動するのは難しいかもしれませんが、まだ引退する年齢ではないと思うのでこれからも頑張ってほしいです。

私はこの曲が大好きです。特に歌詞。ポーランド語ではありますがAdamは詩的で素晴らしい歌詞を書く人で、彼が関わっている音楽が好きな理由の一つにこの歌詞があります。

その歌詞とこの音楽がうまい具合に調和していて、聴いていると静かな感動に襲われ泣けてくるのです。最初はアルバムの他の楽曲の方が好きで、Przyrzekamは特に注意を引くところはないなと思っていたのですが、聴き込んでいくうちにだんだんこの曲が株を上げてきました。

Assalの楽曲にはAbraxasのような即効性がないものの、集中して聴いているうちに繊細な味わいが出てくるものが多いです。

Abraxasのヘヴィな音楽性を決定していたのが作曲担当だったメタル趣味のギタリストSzymon Brzeziński(このAssalのアルバムのミックスを担当)だったとするとAnankeがAbraxasより大人しいのにも納得できますし、Adam本人は元々Assalで見られるような音楽性を持っているのだと思っています。

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