Alcest: “Souvenirs D’Un Autre Monde” 楽曲レビュー

フランスのポストブラックメタルプロジェクトAlcestのデビューアルバム”Souvenirs D’Un Autre Monde”(2007)に収録されている楽曲“Souvenirs D’Un Autre Monde”のレビューです。

Alcest “Souvenirs D’Un Autre Monde”

Alcestはフランスのポストブラックメタルプロジェクトです。その音楽性はブラックメタルをポストロックやシューゲイザーの要素と融合させたものです。当初はブラックメタルプレイヤーであるNeigeによるソロプロジェクトでしたが、2018年現在はドラマーとの二人編成になっています。

なおNeigeは色々なバンドに参加していて、その中にはAmesoeurs, Peste Noireなどがあります。私はAmesoeurもPeste Noireも聴いたことがありますが、前者はかなり好みでした。後者はAlcestを知る前に聴きましたが、ブラックメタルの中でもかなり極端であまり良い印象を持たなかったのを覚えています。

この“Souvenirs D’Un Autre Monde”は2007年に発表された同名のデビューアルバムからの楽曲で、ブラックメタルを基にしながらも落ち着いていて温かいこのアルバムの音楽性を象徴するものとなっています。なおアルバムを発売しているレーベルのProphecy Productionはユニークでレベルの高いアーティストを多数抱えているので、こういう音楽が好きな方は他のアーティストも調べてみてください。

楽曲のレビュー

ノスタルジックな音像、歪みすぎて逆に心地の良いギターの轟音、ボーカルというより一つの楽器と化している夢見るようなNeighの優しい歌など、明らかに他の多数派の音楽とは一線を画しており、それでいて非常に聴きやすく完成されている…まさにこれがAlcestの特徴です。

他のアルバムではグロウルを聴くこともできますが、全くそれでも耳障りになることはなくAlcestの独特な音世界の一部として溶け込んでいます。一人で作り上げるからこそここまでオリジナリティに溢れなおかつ調和のとれた音楽が生まれるのかもしれません。

私はブラックメタルというジャンルを好んで聴くようなリスナーではありませんが、ブラックメタルというキーワードを想像しながら実際にこの音楽に触れてみると肩透かしを喰らったというか、良い意味で全然違ったことに感動したのを覚えています。

Alcestを知った瞬間から数日は朝から晩まで聴き続け、その後Bandcampでディスコグラフィをまとめ買いしてしまいました。好みに完全に合っていて、かつ今まで聴いたことのないタイプの音楽との出会いはそれほどの衝撃だったのです。

 

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