PyT: “Un Temps Inoubliable” 楽曲レビュー

スイスのプログレッシブロックバンドGalaadのボーカリストPyTによるソロアルバム”Carnet d’un Visage de Pluie”(2013)収録の楽曲“Un Temps Inoubliable”のレビューです。

PyTって何者?

PyT(アルファベット読みでペー・イグレック・テー?)という名前で活動するこのPierre-Yves Theurillat(ピエール=イヴ・トゥリヤ?)という方はフランス人ではなく、スイスのフランス語圏出身です。

実はこの方は90年代に活動していたプログレッシヴロックバンドGalaad(ギャラッド)のボーカルなんです!しかしそう言ったところで誰も驚いてくれません。

悲しいことに、そもそもプログレファンの間でもほぼ話題に上らないGalaad。アルバムは2枚のみですが有名レーベルMUSEAから出していましたし、Marillionの前座も務めたバンドです。忘れ去られてしまったのでしょうか。

Galaadのアーティスト紹介記事があるので興味のある方は読んでみてください。↓

Galaad: アーティスト紹介

Galaadの1stアルバムのレビューも書いています。↓

Galaad: “Premier Février” アルバムレビュー

急にポップになったPyT氏による傑作Un Temps Inoubliable

PyT氏はGalaadの後にL’escouade(レスクアード)というバンドもやっていましたが残したアルバムは1枚のみで、どちらにせよ辛うじてGalaadを知っている人がいるかどうかのレベルだと思います。ソロを始めた時も気づいた人がいるのかどうか…

Galaadはかなり奇抜な曲を作っていて、残っているライブ映像の中のPyT氏もこの人大丈夫かなと思ってしまうくらい暴れていました。しかし、2010年のL’escouadeによるアルバムはかなり穏やかな作風でしたし、翌年のこのソロアルバムも2015年のソロ2作目もかなりのポップ路線でした。年齢とともに落ち着くということでしょうか。

今回紹介している曲のタイトル“Un Temps Inoubliable”はフランス語。「アン・タン・イヌブリヤーブル」と読み、「忘れられない時間」という意味です。特にinoubliableという単語は英語のunforgettableにそのまま対応すると考えてよいと思います。

PyTのソロにはたまに英詞の曲もありますがこれはフランス語オンリーです。
「フランスで今流行っている曲だよ」と言われたら騙されてしまいそうなほど良い意味で普通の曲ですよね。歌詞の方も終わった恋に未練がある主人公による愛のメッセージ、というよくありそうなテーマでした。おじさんからの愛のメッセージ…

2017年、まさかのGalaad再結成

これは偶然知りました。友人にGalaadを紹介しようとYouTubeで音源を選んでいたのですが、以前は存在しなかったGalaadというYouTubeチャンネルがヒットしたので覗いてみたところなんと2017年のライブ映像が上がっていて、チャンネルからリンクを開くと公式サイトも見つかりました。

公式サイトは全てフランス語なのでまだ細かく読んでいませんが(フランス語少しわかるのに)、90年代Galaadの歩みとギャラリーに加え2017年3月にGalaadとしてライブを行ったことが書かれていました。

アーティスト写真も新しく撮られブッキング用のアドレスも掲載されていたので一回限りでないことを願います。

ライブ映像を見る限り、Galaad時代、特に2ndアルバム”Vae Victis”の曲が難しすぎて現在のPyT氏の年齢では原曲通りに歌うことができないので、なおさら新作が待たれます。

Galaad再結成についての情報はこちら。2019年5月にニューアルバムが発売される予定です。↓

スイスネオプログレのGalaad、23年ぶりの新作をアナウンス

追記: 2017年9月に新曲が発表されました。↓

Galaad: “Merci [puR]” 楽曲レビュー

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