絶対音感を持つとどうなるのか

今回は絶対音感について書いてみようと思います。私自身を絶対音感所持者の一例としてその感覚を説明します。

絶対音感とは

まずはこの言葉の説明をしましょう。多くの人が出会ったことのある言葉だと思います。

絶対音感とは、聴いた音の高さを比較対象を使わずに言い当てる能力のことです。

「絶対」は「相対」の対義語で、他のものに依存しないということです。

「相対音感」というものもあり、こちらは二つの音の高さがどれだけ違うか認識する能力のことです。絶対音感と相対音感は共存することができます。

絶対音感の稀少性と身に付け方

何パーセントの人が絶対音感を持っているのかはわかりませんが、多くはありません。

絶対音感を持っているという人が現れるとすごいねという声が上がるくらいには稀少だと思います。

絶対音感は幼少期に耳を鍛えることによって身に付けられるそうです。先天的な要素がどれだけあるのかはわかりませんが、私のように幼稚園からピアノを習い始めた人の多くが絶対音感を持っているのではないかなと思っています。

成長してから絶対音感を身に付けるのは難しいそうです。対して、相対音感は訓練によって身に付けることができます。

私の絶対音感でできること

1. 耳にしたメロディを楽器で一発再現する

ポイントは、耳にしたメロディに含まれるそれぞれの音の高さがわかるということです。私はピアノが弾けるのでそれをピアノで再現すれば良いというだけです。楽譜に書き起こすことも可能です。

よく「音楽がドレミファソラシドで聞こえる」と言われますが、私の感覚は「音が耳に入ってくると同時に脳がもう音名を知っている」に近いです。なお、音名を知りたくないからと注意を逸らしていてもわかってしまいます。それだけ自然なことで、労力も要りません。

2. 音の高さが半音の10分の1レベルで識別できる

これは個人差が大きい部分なのであくまで私の例です。

ドレミファソラシドでは表せない微妙な高さの音があります。特に歌にはこのような微妙なずれが出ることが多いです。

例えば、ある音を聴いて「あ、この音はドとド#の間で、ドからド#方向に3割進んだくらいの高さの音だ」と思うのです。私の絶対音感の精密度は恐らくこれくらいなのでしょう。

3. 聴いた曲のコード進行がだいたいわかる

私の場合100%の的中率ではないのですが、普段どんなコードが使われているかなど気にせず聴いている曲でも必要となればコードを言い当てることができます。

記憶からコードを判別することもできるので、知っている曲をギターでいきなり弾き語りすることもギターさえ弾ければ可能です。

4. 楽器のチューニングをする

ギターやベースなど、チューニングが必要な楽器を使う時にチューナーを使わずに自分でチューニングすることができます。

私はピアノを弾いていた時全く問題なくこれをやっていたのですが、ピアノ教室に通うのをやめてから少し精度が落ちたような気がします。

5. 人の話し声の高さを言い当てる

これはかなり難しいですが、不可能ではありません。人の話し声は楽器と違ってピッチがあやふやで響きも違うのですが、だいたいどの高さで話しているか言い当てることができます。

私の絶対音感でできないこと

1. 耳にした曲の全パートの全ての音を識別する

一度聴いただけで曲を完全再現できる人もたまにいますが、これをするには絶対音感だけでなく他の能力も必要になると思います。

2. 速すぎるフレーズの音を全て識別する

これはなぜかできません。私の絶対音感の不正確な部分を音楽理論による推測で補っているからかもしれません。

3. 打撃音の高さを言い当てる

ガラスなどから出る高い音なら可能ですが、「絶対音感持ってるから音の高さがわかるの?じゃあこれは?」と机をポンと叩かれても答えられません。

「雨の音が不協和音に聞こえて不安になる」というのもよく聴きますが、少なくとも私には雨の音は雨の音にしか聞こえません。

4. 正しい音程で歌う

絶対音感の有無と歌の上手さはあまり関係ないと思います。どの高さの音を出せばいいのかはわかりますし音が外れたら気付きますが、出したい高さの音を自分の体が作り出せるかどうかとは別問題です。

絶対音感ならではの悩み

1. カラオケでキーを変えて歌うのが難しい

カラオケでキーを変えて歌う時には相対音感があれば問題ありません。しかし私は普段絶対音感に頼っているせいで相対音感が育たなかったのか、カラオケでキーを変えるとどの音を歌えば良いのかわからなくなります。

2. 好きな曲のキーを変えられるとがっかり

これも相対音感が必要な場面です。好きな曲がキーを変えて演奏されたときに、絶対音感に頼っている人は次にどの音がくるのかわからなくなります。この状態が続くことで心地が悪くなったり、またはその曲でないように聞こえてしまったりということがよくあります。

まとめ

ここまで、私の絶対音感がどのようなものなのかを説明してみました。絶対音感の精度には個人差があるので、誰もが私と同じ体験をしているわけではありません。しかし、絶対音感を持っていない人にとっては私の例が絶対音感所持者の感覚を理解する鍵になると思います。

 

 

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