Eivør: “Falling Free” 楽曲レビュー

デンマーク領フェロー諸島出身のシンガーソングライターEivørのアルバム”Room”(2012)に収録されている楽曲“Falling Free”のレビューです。

Eivør “Falling Free”

今回はライブ映像の紹介です。

Eivørデンマーク領フェロー諸島出身のシンガーソングライターで、フルネームはEivør Pálsdóttirです。しかしPálsdóttirは苗字ではなく父称というもので、Pálの娘という意味です。

読み方としてはアイヴォール・ポルスドッティルというカタカナ表記が一番適切だと思いますが、普段は言語をわかった上でカタカナ表記を書くことが多いもののフェロー語はわからないので全く自信がありません。

彼女は子供のころから類稀なる才能を見せており、1983年生まれですが15歳でミュージシャンとして生きていくために学校を中退し翌年(2000年)にはデビューしたようです。

彼女の音楽性はなんとも形容しがたく、彼女の出身地であるフェロー諸島の民族音楽をベースに他のあらゆるジャンルを吸収し独自の音楽性を作り上げたといってもいいかもしれません。

私は2018年4月に留学先であったポーランドのカトヴィツェという街で彼女のライブを観てサインまでもらってきました。

生でも全く音源に劣ることのない、むしろ迫力を増したようなどこまでも伸びる歌声と、海の妖精のようなオーラに圧倒されてしまいました。彼女の曲をほぼ全くと言っていいほど知らない状態でライブに臨んだのですが、それでもあそこまで感動させられたという事実は今でも信じがたいです。

“Falling Free”は2012年発表のアルバム“Room”からの楽曲で、これがEivørの楽曲の中では一番聴きやすいと思われるアルバムなのですが、サウンドがいわゆる「普通」の、言葉を換えればよく聴かれるような音楽に近いからこそEivørというアーティストの異常なレベルの高さが浮き彫りになっている凄まじい作品です。

楽曲のレビュー

“Falling Free”はEivørの美しい長音を生かしたバラードで、元々アルバムの中でも最終曲として位置付けられています。シンプルなアレンジと美しい歌が沁みる曲ですが、このライブでは後半に盛り上がる場面があり、爆発しそうなほどの力強い演奏とEivørの鬼気迫るスキャットを聴くことができます。

私が観た時も原曲と全く違う演奏になっている曲が多かったので、ライブにおける楽曲のアレンジは普段からやっているのかなと思います。

元がコンパクトで静かな曲だけに、このように激しいコントラストがつくと美しさを保ちつつよりドラマティックに響きますね。個人的にはCD音源よりはるかに気に入りました。CD音源も大好きなのに、です。Eivørはライブでこそ真の力を見せてくれるアーティストなのかもしれません。

 

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