オランダのゴシックメタルバンドThe Gatheringのアルバム“Mandylion”(1995)のアルバムレビューです。
目次
The Gatheringのアルバム”Mandylion”
The Gatheringはオランダのゴシックメタルバンドです。初期はデス/ドゥーム系のバンドでしたが、今回紹介する3rdアルバム”Mandylion”から今ではカリスマ的人気を誇る女性ボーカリストAnneke van Giersbergenを迎え、一気に人気を獲得しました。
Annekeは2007年にバンドを脱退し、残されたメンバーはその後も活動を続けています。ゴシックメタルからは脱却していますが。
Annekeをボーカルに据えて最初のアルバムということで、この”Mandylion”ではこれまでのダークな音楽性と女性ボーカルゴシック特有の雰囲気がうまく調和しています。人気も高いと思います。
トラックリスト
- Strange Machines – 6:04 ★
- Eleanor – 6:42
- In Motion #1 – 6:56 ★
- Leaves – 6:01 ★
- Fear the Sea – 5:50
- Mandylion – 5:02
- Sand and Mercury – 9:58
- In Motion #2 – 6:07 ★
各曲レビュー
Strange Machines
遅めのテンポで重いディストーションギターが鳴り響く、ドゥーム的な要素も含んだゴシックメタルらしい楽曲です。
Annekeの声はゴシックメタルを歌うには少し可憐すぎますが、そのギャップがThe Gatheringの音楽をより魅力のあるものにしています。
リズムにも工夫が凝らされていて、体感的に速くなったり遅くなったりします。曲自体が長いので、このように起伏がついていると退屈せずに聴けますね。
陰鬱過ぎないのも聴きやすいポイントです。メタルファン以外にも受けるのではないかと思うほどポップな面も持ち合わせています。
Eleanor
この曲も激しめですが、テンポは速くありません。やはりギターはドゥームメタル的です。
私はAnnekeがすごいと聞いてThe Gatheringを聴き始めたのですが、どれだけ聴いても具体的にどこが凄いのかがわかりません。それなのに、Annekeが歌っているとどの曲も良く聞こえます。
不思議な感覚ですが、やはりAnnekeが絶賛されているのには理由があるんだろうなと思いました。
この曲は特に後半がダークで、暗い曲が好きな私は気に入りました。
In Motion #1
恐らく私が最初に聴いたThe Gatheringの曲がこれです。
重々しいワルツのようなリズムに乗って感傷的に歌われるこの曲は間違いなく名曲だと思います。特にサビの歌メロが素晴らしいです。
このアルバムには”In Motion #2″も収録されていて、恐らく組曲扱いなのだろうと思います。
この記事に貼っているのはライブ動画です。
Leaves
ミュージックビデオがありました。
遅めのテンポの曲で、Annekeのパワフルなボーカルが聞けます。この重量感が印象的でした。
中盤から少しポジティブな響きに変わるのもこの楽曲の魅力で、一曲で二曲分楽しめます。そこからしっかり違和感なく終わりに持っていっているのも良いと思います。
Fear the Sea
ギターの轟音が鳴り響く楽曲で、ここではAnnekeよりもギターの方が主役なのかなと思いました。
楽曲としては、他のトラックに劣るような気がします。
Mandylion
タイトルトラックです。収録時間は5分で、このアルバムの中では最も短いです。
アンビエント系の楽曲で、Annekeはスキャットでしか参加していません。このアルバムは終始音が大きいので、こういう小休止を作ったのは正解だと思います。
Sand and Mercury
10分近くに及ぶ長尺曲です。
硬質なゴシックメタル的インストが続く前半と、Annekeが歌うゆったりとした後半に分かれています。
インスト部分はこのアルバムの他の曲たちを融合させたような演奏でした。ゴシックメタルはどうしても曲が互いに似てしまうので仕方ないかもしれません。
6分以上経ったところで、Annekeが歌い始めます。浮遊感のあるバラードのようなボーカルパートで、このアルバムにはなかった曲調なので新鮮でした。
In Motion #2
このアルバムで恐らく一番良い曲”In Motion #1″の続編ですが、#1にかなり似ています。素晴らしい曲なので1枚のアルバムで2回聴くことになっても全く飽きません。
まとめ
私はThe Gatheringを勉強している最中ですが、このアルバムの楽曲群は適度にダークで適度にポップなので、女性ボーカルのゴシックメタルの中でも特に傑出した作品だと思いました。
Annekeのボーカルについては、後に有名になったのも頷けるなと思います。男性ボーカルのゴシックメタルも好きですが、女性ボーカルのバンドならこういう雰囲気が良いです。