ΑΜΜΟΣ(AMMOS): “Γεφυρα Πρωτη”(Gefyra Proti) アルバムレビュー

ギリシャのバンドΑΜΜΟΣのアルバム“Γεφυρα Πρωτη”(1998)のレビューです。

ΑΜΜΟΣ

グループ名はΑΜΜΟΣ(アンモス)です。小文字含めて書くとΆμμος。しかし英語で調べてもバンドに関する情報がヒットせず、ギリシャ語も全くわからないので調べようがありません。

以前このアルバムの写真をSNSで上げたらギリシャ音楽通の方が「アンモスじゃないですか!」と反応してくださったことがあるので、ギリシャに詳しければ知っているような音楽なのかもしれません。所属レーベルはギリシャ国内でかなり大手のところみたいでした。

Γεφυρα Πρωτη

バンドのバイオグラフィを書くことができないのでいきなりアルバムについて書くしかありません。

アルバム名“Γέφυρα Πρώτη”の読み方はわかりませんが、一応ラテン文字に翻字すると”Gefyra Proti”となるようです。バンド名の方はラテン文字ではAmmosとなります。このアルバムは1998年に発売されたようです。

なぜ私がこのアルバムを持っているかというと、普段行かないような場所にある中古CD屋さんを見に行ったところかなり色々なものがあって、その中でもギリシャ文字しか書かれていないこのCDが気になったからです。

他では手に入らないだろうということで購入しました。それにしても、中古として売られる前にこの近所で誰かがこのアルバムを買って聴いていたってことですよね。

トラックリスト

1. Λένε Την Αγάπη – 0:54
2. Έλα Την Αυγή – 3:33
3. Γίνε Όλος Φλόγα – 4:41
4. Αφήνοντας Την Καλυψώ – 5:01 ★★
5. Ποτέ Να Μην Έρθει Η Μέρα – 1:24
6. Όλα Δικά Σου – 6:18
7. Πέρα Από Τις Κόρες – 3:33
8. Γέφυρες – 2:17
9. Σου Υποσχέθηκα – 2:54
10. Νομίζεις Πως Είχε Ψυχή, Άλφρεντ? – 5:01
11. Ballerina – 2:37
12. Μέσα Μου – 6:29
13. Κράτα Με Γερά – 2:01
14. Χίμιελ Λρενκ – 5:07
15. Πολεμικόν – 3:44
16. Αφήνοντας Την Καλυψώ Νωρίς Το Πρωί – 5:20

(曲ごとの紹介でラテン文字へ翻字したタイトルを添えていきます。)

各曲レビュー

Λένε Την Αγάπη (Lene Tin Agapi)

序曲で、ピアノをバックに男性のギリシャ語によるナレーションが流れます。私はギリシャという未知の土地に少し憧れがあるものの音楽にもほとんど触れたことがないので、これを聴いただけで期待感が高まってしまいました。

ナレーションが終わると表情を変えるピアノは何かのサウンドトラックのようです。

Έλα Την Αυγή (Ela Tin Augi)

笛の音が流れ、古楽器かな?と思ったらただの歌が始まります。ジャンルはどれに入るのかわかりません。

現代のポップ&ロック、エレクトロニカのような音も使っていてリズムを重視した曲なのですが、ボーカルの女性の神秘的な声とバックで流れる民族音楽的コーラスを聴くとやはり普通のポップとは思えませんでした。

Γίνε Όλος Φλόγα (Gine Olos Floga)

呪術的な歌メロに導かれ、ゆったりとしながらもリズムが強調された歌謡曲に。単純に美しく聞かせる部分もあり、アコースティック系の音色も豊富なのでサウンドはかなり楽しめます。

ここまで聴いただけでもこのバンドの旋律には癖があるなと感じました。

この曲でも男性ナレーションが登場し、内容がわからないのでなんとも言えませんがこの響きはやはり嬉しいです。

Αφήνοντας Την Καλυψώ (Afinontas Tin Kalypso)

実はこのアルバムを紹介することにした理由はこの曲のイントロが素晴らしすぎたからです。ここのアコースティックギターの旋律が極上なんです。

静かに流れる10小節のイントロを聴いただけで気持ちが安らぎます。私のギリシャのイメージが正しいかどうか全く自信がないのですが、これぞギリシャ!と思いました。この10小節のフレーズは曲中で2回聴けます。

サビのボーカルの旋律はこのイントロをベースにしていて、旋律自体はかなり違いますがやはり似た響きを持っています。やはりボーカルがポップ歌手の声ともロック歌手の声とも根本的に違うためネオフォークと言われれば納得の感があります。

Ποτέ Να Μην Έρθει Η Μέρα (Pote Na Min Erthi I Mera)

この曲も非常に秀逸です。笛とアコースティックギターで味のあるテーマフレーズが奏でられ、男性ナレーションも響く短い曲です。歌はありません。

Όλα Δικά Σου (Ola Dika Sou)

この曲はYouTubeでミュージックビデオを見つけたので貼っておきます。

この曲もどこか神秘的です。ここではR&Bやジャズ的な要素も感じられますが、やはりアンモスの曲になるとそれに収まらない何かがあるなと思いました。

Πέρα Από Τις Κόρες (Pera Apo Tis Kores)

前曲から一転、こちらは広い草原を舞台にしたような楽曲です。最初このアルバムを聴いたときに一番良いなと思ったのはこの曲でした。

笛で奏でられるリフを中心に、思いっきり現代的なエレキギターが聴けるのも新鮮です。単純にはじけるだけでなく突然3拍子に変わって楽器数を減らしボーカルを聞かせる部分も何度か用意されていて、流れにメリハリがあるのも良いと思いました。

旋律は開放的なのですが、ボーカルの声質のせいか爽やかになり切れない印象もあります。しかしこれはこれでらしさを保つのに一役買う重要な要素となっているのではないでしょうか。

Γέφυρες (Gefyres)

ボーカルを軸にした曲で、伴奏はピアノがメインです。これもやはりギリシャ的な雰囲気が濃いです。

短い曲ですが、一番盛り上がるサビのような部分でリズムに組み込まれて鳴る、何かにひびが入るような音が不思議な印象を与えてくれました。変則的な音階を使った鍵盤楽器(鍵盤打楽器かも?)と男性ナレーションが聴ける中間部も聴きどころだと思います。

Σου Υποσχέθηκα (Sou Iposhethika)

前曲に続いて短めの曲です。

2曲目の”Έλα Την Αυγή”とリズムなどで共通点が感じられますが、こちらにはポジティブな響きもあり聴き心地が良かったです。なかなか気に入りました。

Νομίζεις Πως Είχε Ψυχή, Άλφρεντ? (Nomizeis Pos Eihe Psihi Alfred?)

冒頭からエフェクトがかけられた男性の演劇的なナレーションが流れ、電子音フレーズの連続に驚かされます。しかも歌い始めた男性が最後まで歌っていて、メインリフはやはり電子音中心です。

時々テイスト的に他から飛び出たような曲が登場するこのアルバムの中でも一番不意を突かれました。

Ballerina

やっと私にも読み方がわかる曲が出てきました。

オルガンの美しい演奏とソプラノの歌唱が響き、古典的な雰囲気を持っています。歌詞はありません。

Μέσα Μου (Mesa Mou)

この曲は約6分半とアルバム中では一番長くなっています。

自由度の高いアコースティックギターの演奏と神秘的な旋律を歌うボーカルを中心に据え、静けさを保ちながら落ち着いて聞かせます。他の楽器によるちょっとした装飾も変化に富んでおり、約6分半の間これといった盛り上がりがないにもかかわらず最後まで退屈することなく聴けました。

Κράτα Με Γερά (Krata Me Gera)

オルガンが主導する短い曲で、男性のナレーションと民族音楽風の女声コーラスが堪能できます。

「ギリシャ」を求めてこのCDを購入した私にとって、短い曲を使ってこういうことをやってくれるのは嬉しいです。

Χίμιελ Λρενκ (Himiel Renk)

翳りのある音階で作られた歌メロを繰り返し聞かせる曲です。アルバムの中では比較的サウンドが壮大で、SEも面白いなと思いました。

しかし聴いていると漠然とした不安に襲われるような雰囲気も兼ね備えています。魔力ですね。

Πολεμικόν (Polemikon)

アルバムのラストから2曲目にして、ワウをかけたギターと大音量のドラムが引っ張っていくまたまた驚きの曲が登場します。

ボーカルには童謡に出てきそうなフレーズなども現れるため多少とっつきやすいかもしれませんが、やはりこれは奇抜な曲に聞こえます。

Αφήνοντας Την Καλυψώ Νωρίς Το Πρωί (Afinontas Tin Kalypso Noris To Proi)

短い曲が少なくないのでもう16曲目になりますが、アルバムのラストはなんと私が絶賛した4曲目の”Αφήνοντας Την Καλυψώ”のリプライズ。これは嬉しいです。

ちなみに”Νωρίς Το Πρωί”が何を表すのかわからなかったのでGoogle翻訳に頼ってみたところ、”Early in the morning”という訳が出てきました。

あの極上のイントロはこのトラックではピアノで奏でられます。4曲目のアコースティックギターほどの破壊力はありませんがやはりこのフレーズは美しいなと思わせてくれました。

これを聴き終わると4曲目の方の”Αφήνοντας Την Καλυψώ”がまた聴きたくなってアルバムをもう一度最初から再生する、なんてこともあります。

まとめ

というわけで、偶然の出会いをした音楽の紹介でした。ジャケ買いのようなものでしたが思いもよらず良いものに出会えたなという感想です。

アーティストについて詳しいことがわかる日が来るのかはわかりませんが、このアルバムは大事にしていきたいと思います。

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