FreddeGredde: “Lonely Starlight” 楽曲レビュー

スウェーデンのマルチミュージシャンFreddeGreddeのアルバム”Thirteen Eight”(2011)に収録されている楽曲“Lonely Starlight”のレビューです。

本人による演奏動画です。

YouTube発のマルチプレイヤーFreddeGreddeについて

FreddeGreddeは本名をFredrick Larsonといい、スウェーデンのGävle出身です。アーティスト名の方は読み方がわかりません。2008年にYouTubeに動画投稿を開始しカバーメドレーで有名になりました。

オリジナルアルバムは2011年の“Thirteen Eight”が最初で、その後は2014年に”Brighter Skies”、2017年に”Eyes on the Edge”を発表しています。

彼は自分の作品でドラム以外の全てのパートをこなすマルチプレイヤーです。こういう人を見ると少し羨ましくなりますね。

ドラマーはLouis Abramsonで、有名な人ではありませんが実力で選ばれたそうです。私はドラムを叩いたことがありませんが、FreddeGreddeの曲は基本的にドラムが一番難しいと確信しています。この動画もその一例です。よくこんな曲叩くなあと思いました。

FreddeGreddeの音楽

彼の音楽的ルーツはプログレッシヴ・ロックだそうです。1stアルバムにはプログレ的な曲も聴きやすい曲もありましたが、常にインスト部分に趣向を凝らしている印象を受けました。私が一番好きなのはこのアルバムで、13曲収録されていますがなんとあまり感性に響かなかった曲が1曲もありません。

2ndアルバムは一気にプログレ色が強まっていますが、この時期本人の音楽に対する感情が冷めてきていたため原点(プログレ)に戻ったのがその理由だそうです。

この作品の後Fredrickはあらゆるものから離れて新しいことを始めるために2年ほど発信を中断して世界を一周し、最終的にフィリピンに家を借りて3rdアルバムを完成させました。3rdアルバムは短い曲を集めて歌とシンプルさを追求した作品です。私はやはり1stの”Thirteen Eight”が好きです。

楽曲について

今回の“Lonely Starlight”という曲は”Thirteen Eight”の1曲目にあたります。極端な複雑さと極端なキャッチーさの同居は彼ならではの才能ではないでしょうか。

ところで、この曲を聴いてみてリズム構成は把握できましたか?この曲は何拍子でしょうか?

4拍子にも3拍子にしてもずれるしそれぞれのパートのリズムが違ってわけがわからないと思ったかもしれません。私も最初は全く見当がつきませんでした。しかし、なんとアルバムタイトルに答えが書いてあります。

Thirteen Eight、つまり答えは13/8拍子。確かに音につられないように注意して指を折りながらもう一度聴いてみたら合っていました。

動画では3:09頃に歌詞にthirteen eightが登場しますが、アルバムタイトル”Thirteen Eight”が表しているのは実はオープニング曲の拍子だったんですね。ここまでくると新種のマジックとしか思えません。

最後に

FreddeGreddeのように現代的な方法で上がってきたアーティストたちはその点で軽視されることも少なくないでしょう。しかし、見方によっては彼らが勝ち抜いてきたのはより実力が問われる世界なのかもしれません。最新作はもう少し聴き込むつもりです。

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