[ポーランド留学]大学の授業5: 現代ポーランド語

ポーランド留学中に大学で受けた授業の紹介です。今回はPolszczyzna współczesnaという科目です。

授業の構成・講師

これは国際ポーランド学学科の学士課程一年生向けの授業です。ポーランドの大学には講義と演習という2つのタイプの授業がありますが、この科目は演習だけでした。

なお、この授業には北京外国語大学から来ている中国人留学生が参加していました。全部で10人近くいたと思います。その他の留学生もこの授業に通っていました。

そのため、受講者のほとんどはポーランド語非ネイティブという状況になっていました。もちろんポーランド人学生もいましたが。

先生は40歳くらいの男性です。この人は1学期にポーランド語の歴史・構造・差異化という授業を持ってくれていた人です。面白いことを言うので好きなのですが、この現代ポーランド語の授業を受けているうちに「この人は心に闇を抱えているのではないか」と思い始めました。

ジョークは面白いのですが、それが精神的に安定している人なら言わないようなジョークなのです。こんなことを書いてしまって、この記事が見つかったら大変ですね。

ただ、その独特の雰囲気が好きで、楽しく授業を受けることができました。

講義の内容

この授業は、正しいポーランド語を覚えることに重点を置いています。というと規範文法的ですが(そもそもポーランドでは規範文法が流行っていますが)、「ポーランド語評議会(Rada Języka Polskiego)によって認められているポーランド語を覚えよう」ということです。

そのため、ある問題では2つ以上の答えがあったり、さらにその中で「メディアで使われるべき形・口語的な形」という区別があったりしました。

皆で文法問題を解いて答え合わせをする、という形で普段は授業が進んでいきました。普段使う機会のないような細かい文法事項も多く出てきて、全員が苦戦しました。

ポーランド人学生でもわからなかったり間違えたりする問題が多く、この人たちも退屈はしなかったと思います。

また、中国人留学生は全員大学2年生ということで概してポーランド語の総合的レベルが高くなかったのですが、文法問題は得意なように見受けられました。

難しい語形変化を持つ名詞は序の口として、分数や集合数詞も徹底的に練習させられました。

例えば、「扉(drzwi)が23個ある家」はポーランド語でどう言うか。

答えは、”dom z dwadzieściorgiem trojgiem drzwi”です。

「部屋(pokój)が23個ある家」なら単純に”dom z dwudziestoma trzema pokojami(またはdom z dwudziestu trzema pokojami)”で良いのですが、drzwiという単語には集合数詞が使われるのでこんな形になるということです。

他にも自動車の部品の名前を覚えたり、自動車をモチーフにした慣用表現を勉強したりしました。こういった慣用表現はほとんど若者言葉か下品な言葉であり私は全然知らなかったのですが、いかにもクラブに通っていそうなウクライナ人のクラスメイトはほぼ全部知っていました。

私の周りにはこういう言葉を使うポーランド人がいないので、未だに覚えられないままです。やはり語彙や話し方は環境に左右されるんだなと思いました。同じくポーランド語が話せる日本人の中で、下品な表現をたくさん知っていて自身も常用しているという人も見たことがあります。

最後には、先生の専門分野である「メディアによるポーランド語への影響」というテーマにも少し触れました。

「ポーランド語の歴史」という本を書いた偉大なポーランド語学者Zenon Klemensiewiczの娘であり自身も偉大なポーランド語学者のIrena Bajerowaという人がいます。

この人は私が通っていたシロンスク大学ポーランド語学科の創始者の一人で、ここで長年教鞭をとっていました。大学のポーランド語研究所がIrena Bajerowaの名を冠しているほど、大学にとって重要な人物です。

その人の生前の講義の様子(武勇伝?)をこの先生が授業中に語ってくれたこともあり、貴重なお話だなと思いました。例えば、授業が始まると10分程度教室の入り口の扉の前に張り付いてそのまま授業をしていたという話。それは、遅刻する生徒には授業を受けさせないという意思表示だったそうです。変わった人ですね。

まとめ

ポーランド語の文法は非常に難しく、それをみっちり勉強できる機会をこの授業で得たことは大きなプラスです。自分が話すときにできるだけ間違えたくないので、自分でもっと文法の知識を固めていこうと思いました。

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