[ポーランド留学]留学生活で苦労したことと反省

今回は、1年間のポーランド留学生活の中で辛かった場面について書きたいと思います。辛いことはいくつかあったのですが、今考えると「考え方を変えれば悩むことはなかったな」ということばかりです。

留学は楽しいだけことではないので、留学を考えている人や留学を控えている人は読んでみてください。

留学内容

私の留学内容を整理しましょう。私はポーランドのカトヴィツェという街にある大学に留学していました。正規の留学生ではありませんが、大学の授業を聴講していて、さらに外国人向けのポーランド人講座に参加していました。住まいは学生寮です。

語学力不足

留学は、日本語から離れて外国語の環境に身を置くということです。日本人留学生同士でコミュニティを作って固まる場合もありますが、私の場合は大学に私しか日本人がいませんでした。

私は幸い日本語ホームシックにはなりませんでしたが、自分のポーランド語にあまり自信がなく、知らない人と話す時に毎回緊張していました。そのため、日本に住んでいる時よりも神経がすり減って疲れやすくなりました。

それでも、言いたいことをポーランド語で伝えられない、相手の言っていることがわからない、などという問題はなかったので、言語に関してはそこまで苦労しませんでした。私は完璧主義者なので、全くボロを出さずに毎回の会話を最後まで乗り切ろうという気負いのせいで無駄なストレスを感じていたのです。

留学経験者がショックを受けたエピソードとしてよく挙げる「実際に留学に行ってみたら英語が全然話せなかった、何を言われているか全然わからないし自分も何も言えなくて絶望した」というような経験はしていませんが、これはこれで疲れます。

他に語学関係でショックを受けた出来事と言えば、「自分は日本で英語を専攻していて日本人の中では英語が得意な方なのに、そこら辺のヨーロッパ諸国からの留学生が話しているのを聞いてみると自分より明らかに英語が上手い」です。

英語を勉強するために留学していたわけではないのですが、それでも自信をなくしそうになりました。そういう時は、自分の先生が中国人留学生に言っていた「人前でポーランド語を話すとき、評価されるのを恐れてはいけません。あなた方より中国語が上手な人はここにはいないからです」という言葉を自分に置き換えて考えていました。

寮生活

旧共産圏では学生は共同生活をするのが普通です。学生寮はほとんど2人部屋ですし、自分で部屋を借りるにしても基本2人部屋などを割り勘にして誰かと一緒に住みます。

「家族以外の誰かと一緒に住む」という経験が初めてだったせいか、これには苦労しました。もっと言えば、留学中にもっとも文化が衝突する場は住居だと思います。

私は9ヶ月程度学生寮の2人部屋に住んで、3人のルームメイトとの生活を経験しました。グルジア人、中国人、モンゴル人です。

一番嫌な思い出があるのは隣の部屋に住んでいてキッチンやトイレ・シャワーを共有していたインドネシア人なのですが、ルームメイトでも苦労しました。

毎日夜遅く私が寝ている時間に彼女と電話で喧嘩をしてやけ酒をする人、ポーランド語に関する質問を山のように投げかけてきてゆっくりさせてくれない人、彼女を部屋に呼ぶために毎週末私を部屋から追い出そうとする人など、色々いました。

それに加えて寮の環境自体が悪かったので、寮生活に関しては良い思い出がありません。できれば忘れたいくらいです。「なんだかんだ言って、終わってみれば楽しかったな」と思ったこともありません。

ただ今思うのは、ルームメイトが迷惑な行為をしている場合はそのことを言葉で伝えるべきだな、それをしなかったのは自分の責任だな、ということです。どうしても日本人として「迷惑そうにしているのに気付いてよ」と思ってしまうのですが、それは日本国外では通用しません。

何かをやめてほしい時はそれを面と向かって言葉で伝えるべきです。「言い方にさえ気をつければ嫌われないよ。何か不満があったら本人に直接伝えるのがここでは普通だよ」というのがポーランド人からいつもアドバイスされた内容でした。

長い間日本から出ずに生活して身に染みついた文化にはなかなか逆らえません。すぐに考え方を変えられるなら誰も苦労しません。しかし、そのあたりの適応能力を持っている人が上手くいくんだろうなと思いました。

人種差別

あまり受けていません。外を歩いていて知らない人に差別用語を投げつけられたり、汚い言葉で罵られたりしたことはあります。お店で時々店員さんの態度が明らかに悪かったり終始無言だったりするのも、毎回とは言いませんが恐らく私がアジア人だからです。ただ、その程度のことなら一瞬びっくりした後すぐに忘れてしまうので、大した問題ではありません。

最も怖かったのは、カトヴィツェ近郊の町をトラムで移動していて、乗ってきたポーランド人に話しかけられた時です。この人は端から見てもおかしいのがわかるのですが、やはり私を見つけると私の目の前の席に座って話しかけてきました。

「ここで何をしてるんだ、なに、写真を撮ってたって?ポーランドはポーランド人のものだからよそ者は俺たちの国の写真を撮るな、これから一切写真を撮るのをやめるか、そうでなければ米の国に帰れ、中国だかどこだか知らないけどな」言われた内容はこんな感じです。

最初はポーランド語が分からないふりをして無視していたのですが、しつこいので反応するとこのようなことを言われました。幸いすぐトラムから降りていきましたが、降りた後も扉の外から私に罵り言葉を吐いていました。

この時はさすがに身の危険を感じたのでなかなか落ち着きを取り戻すことができませんでした。ただ、こればかりは仕方がないと思います。私もストレス耐性が強くはないので。

人種差別に関しては、スルースキルを身に付けるしかありません。何か嫌なことをされても気に留めないことが重要です。

私のポーランド人の友達はだいたいこう言います。「人種差別的な行動をするのは教養がなくてポーランド人からも嫌われている人たちだから、気にしたら負けだよ。普通のポーランド人はそういう人たちこそ国の恥だと思ってるよ」

少しひどい発言ですが、これはかなり真実に近いです。実際に差別を経験したことがある方なら知っていると思います。

私も気にしないことに慣れたので、今では人種差別を受けるとポーランド人の友達にすかさず「今どこどこを歩いてたら突然おじさんに○○って言われたんだけどwww」というようなノリでメッセージを送っています。

私の経験では、人種差別をされた回数よりも日本出身であることに好意的な反応を示してもらったりポーランド語を話せることを褒めてもらったりした回数の方が圧倒的に多いです。どうしても嫌な思い出の方が記憶に残りやすいですが、心温まる経験も大事にしていきたいですよね。

最後に

ポーランド留学で辛かったことのうち、よく覚えているのはこのあたりです。何においてもそうですが、苦労を経験した後に終わって振り返ってみるとより良い解決方法が見えてくるものです。体験談は一般的に価値のあるものだと思うので、私も自分の体験談を書いてみました。

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