ポーランド留学で知った学生寮の現実

ポーランド留学を考えている方向けの情報を発信するにあたって必須の話題、学生寮です。

今回紹介する学生寮はカトヴィツェ(Katowice)のリゴタ(Ligota)という地区にあるカトヴィツェ・シロンスク大学(Uniwersytet Śląski w Katowicach)の3棟の学生寮のうちの一つです。

家賃

私の部屋は2人部屋で、料金は474ズウォティ/月(2017/2018年度)。今のレートなら約15000円。もちろん一人あたりです。料金は1人部屋でもほとんど変わらないようですが、選択することはできず勝手に割り振られました。

相部屋については、同じ国籍の人がいれば同じ部屋になっているように見えますがそれ以外はランダムのようです。管理人に頼めば違う部屋に移ることは可能です。

私の最初のルームメイトはグルジア人で、同じグルジアからの学生が入居してきたためそちらに移っていきました。二人目のルームメイトは中国人で、前の部屋が危険だったので移動しようか迷っていたら日本人(私)の部屋が空いていることを知り、日本のファンだったということもあり私の部屋にやって来ました。

私は後にモンゴル人に誘われて部屋を移動したのですが、この記事に書いてあるのは引っ越し前の情報です。

通学

平日は10分に1本、休日は20分に1本のペースでバスが走っています。このバスは学生寮→カトヴィツェ駅→学校の隣にあるバス停→Supersam(中心街のショッピングモール)前のバス停→カトヴィツェ駅→学生寮という順路で走っています。

所要時間は学生寮から学校まで30分、学校から学生寮までは40分となっていますが混んでいる場合乗車時間は長くなります。バスは学校を始点かつ終点として周回しているのでだんだん遅れていき、晩になると時刻表より30分以上遅くなることもあります。

平日は学生がだいたい同じような時間に移動するので、恐ろしいほど車内が混んでおり苦痛です。ほとんど座れません。なお、ポーランドではバスが来てようやく列が形成されるのでバス停に早く着いても無駄で、日本人らしく控えめに乗り込むと絶対に座れません。この路線は近くに住む高齢者も利用するのでさらに混みます。

バスの定期券の価格は1ヶ月あたり3000円ほど(ポーランドの学生証を持っていればこの半分の値段)で、カトヴィツェ市内のバスとトラムが乗り放題になります。

トラムを除外すれば少し価格が安くなりますが大差はなく、トラムを使うことで巨大ショッピングモールSilesia City Centerに行くことができるのでわざわざトラムを除外する必要はないでしょう。

なお2割ほど金額を上乗せすればこの定期券を扱っているŚKUPというプロジェクトに参加している町が全て乗り放題になります。

カトヴィツェは周辺の町を従えてシレジア大都市圏を形成していて、カトヴィツェ自体の人口は30万人ほどですが大都市圏はいくつもの町を含むので200万人規模になります。

これらの町が全て乗り放題になるので、近郊にも興味のある方にはこちらをお勧めします。このチケットで乗れる町の数は20以上で、授業のない週末のお出かけに最適です。

なお、シレジア大都市圏は2018年から正式に認められ、いくつかあったバス会社は改編されチケットも安くなりました。

環境

他の2棟に関しては詳しく知りませんが、少なくとも私の棟はほとんど外国人です。シロンスク大学の学生のうち留学生はわずか2%とのことですが学生数自体が2万を超えているので何百人という留学生をここに集めているのでしょう。

中国人ルームメイトの話によるとこの寮は外国人専用とのことですが、私が最初に住んでいた部屋の廊下を挟んで向かいのユニットにポーランド人(話しかけたらポーランド人だと言っていました)が何人かいてよく料理をしているところを見かけたので、それはなさそうです。

3つの学生寮が集まって一つの団地を形成しており、簡易的な食料品店もあります。団地の隣には大きめの公園もあります。最寄りの鉄道駅は徒歩10分程度のところにあり、無人駅で地方鉄道のみが停まりますが私はときどき利用しています。バス停は団地の中にあるので、寮から出てすぐです。最寄りのスーパーマーケットまでは徒歩10分弱です。

寮は寝るところだと思っていたのですがこの寮にはディスコがあり、毎日音楽が鳴り響き学生たちが騒いでいます。そのためイヤホンを装着しないと眠れません。

ディスコの音が聞こえない日でもどこかで部屋の窓を開けてパーティをしていたり外で大人数で酔っぱらって叫んだりしているので、静かな夜はほとんどありません。中心街に住んだほうが静かだと思います。

なお酔っぱらった学生が喧嘩をしていることもあるらしく、私のルームメイトが以前住んでいた部屋ではルームメイトが暴力沙汰を起こし、さらに他の入居者をエアガンで撃ったため逮捕されたそうです。麻薬を使用している人がいるとの噂も聞きます。

インターネットは有線LANで、Wi-FIはありません。有線LANは登録制で、入居者の情報とともにノートパソコンなどの端末を登録して利用することになります。

速度は快適で使用量制限もないので便利ですが、パソコンからテザリングをしない限り家にいても携帯がモバイルデータを消費するところが難点です。

幸いポーランドではモバイルネットワークのパケットの価格が安く、自分のアカウントにクレジットを入れておけば欲しい時に必要なだけ買えるのでそこまで心配することはありません。

部屋では基本パソコンで作業をしますが携帯を使うこともあるので、私は「動画はパソコンで再生する」ということにだけ留意しています。

生活(共用部分)

共用キッチンがあり、ユニットのキッチンは火力の面で全く使い物にならないので基本的には共用キッチンを使うことになります。

共用キッチンではかなり多くの人が食材をこぼしても片付けずに帰るので常に何らかが飛び散っています。IHプレートが4台あり、基本的に順番待ちをしなければいけないようなことはありません。

共用の洗濯機もあります。各階に何台かずつあり、レセプションに入居者カードを預けて鍵を借りて使うシステムです。レセプションに空きがあるか尋ねることになりますが、空きがあるのは10回に1回くらいかそれ以下。

洗濯が終わったら直ちに鍵を返却するルールにも関わらず平日の昼間にレセプションに行っても空いていないので、入居者たちが朝に洗濯機のスイッチを入れて放置したまま学校に行っている可能性が高いです。結果的に洗濯機より手洗いの頻度が高くなります。

※追記1: 鍵がいつもレセプションにない理由が後から明らかになりました。入居者たちはグループを組み、一度手に入れた鍵を手放さないように毎日レセプションでリレーのバトンのように鍵を回していたようです。こういう自己中心的なグループがいくつもあったため鍵が手に入らなくなりました。

※追記2: 追記1の状況を踏まえてか、寮が留学中にシステムを変更しました。寮をブロックごとに分けて一ブロックに一つずつランドリールームを割り当て、ブロックリーダーが鍵を管理するシステムになり、鍵が手に入りやすくなりました。

生活(部屋・ユニット)

2人部屋のエリアは2部屋で1ユニットとなっており、キッチンとシャワールームとトイレ(トイレ・シャワーは一体型だったり別だったりする)を4人でシェアすることになります。

シャワールームは朝学校に行く前に全員が使うので、使いたい時間に空いていなくても学校に間に合うようにある程度早めに起きることになります。キッチンには食卓がありますが少し小さめです。冷蔵庫も4人で使うには小さいです。

部屋の中には2台のベッドがあり、クローゼットと大棚に加えてそれぞれのベッドの上の壁掛け棚があるので、収納場所には困りません。床部分もある程度広いです。

コンセントはそれぞれのベッドの脇の壁に2つずつ、大テーブルの近くに2つです。部屋によって場所が違いますが。

大テーブルは壁際にあり、椅子が二脚。かなり大きく、ノートパソコンを置いた上で勉強道具を広げても問題ないサイズです。ただ部屋が暗いので机での勉強用にランプを買いました。

共同生活についてですが、私の最初のルームメイトはグルジア人で、部屋の床にゴミを置いており食器は次に使うまで洗わずに流しに放置したままでした。また夜中私が寝ていても部屋の中で大声で電話していました。

次のルームメイトは中国人ですが、彼は最初のルームメイトより良かったです。

隣の部屋にはインドネシア人が2人住んでいますが、これが大変です。食事中テーブルをかなり汚すのですが、絶対に拭きません。調理用具は次に使うまで洗いません。この寮では外に大きなゴミ収集台がありいつでもそこにゴミを持っていけるのですが、ユニットのゴミ箱がいっぱいになっても袋を取り出さず無理やり上に重ねていくのでいつも私がルームメイトと一緒にゴミを片付けに行っています。おまけに一日中二人で盛り上がっているので騒がしいです。

まとめ

学生寮の環境はこんな感じです。カトヴィツェでは一人で中心部に部屋を借りた場合35000円はかかるので、お金と平和を天秤にかけることになります。

中心部でルームシェアをしているウクライナ人の友達は快適な生活をしていると言っていましたが、日本人のいないカトヴィツェでルームシェア相手を見つけるとなると難しいかもしれません。

ここではほとんどの学生が共通の母語を持つ人を見つけてコミュニティを作っています。例えば、ロシア語、スペイン語、中国語などは簡単に話者が見つかります。一方日本語話者にはそれが不可能で、これが共同生活者を探すにあたって不利に働くからです。

私はヨーロッパの学生寮を甘く見ていたようで色々なことに愕然としましたが、これから住居を選ぶ方にはこれを読んだ上で何を犠牲にしてもよいか、何が譲れないのかを考えて決めていただきたいと思っています。

なお、ここまで書いたのはあくまでカトヴィツェの学生寮の話です。話によると他の大学の学生寮はもっと住みやすいようです。

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