陰陽座: “愛する者よ、死に候え” 楽曲レビュー

たまには日本の音楽も紹介しようと思います。

日本のメタルバンド陰陽座のアルバム「迦陵頻伽」に収録されている楽曲「愛する者よ、死に候え」(2016)の楽曲レビューです。

陰陽座

陰陽座(おんみょうざ)日本のメタルバンドです。私が日本のアーティストの中で一番好きなのがこの陰陽座です。

日本の妖怪や言い伝えをテーマにした曲が多く、歌詞は古風な言葉で書かれていて聴いていてもよくわかりません。サウンドにも和風な要素が取り入れられていて、さらにプログレッシブな楽曲も時々出てきます。

陰陽座は1999年にデビューしてから今まで14枚のスタジオアルバムを発表していますが、「愛する者よ、死に候え」は2016年に発売された13th「迦陵頻伽」で重要な位置を占めるトラックです。

私は陰陽座のアルバムの中でこの「迦陵頻伽」が最も好きで、その理由はメタルらしい楽曲だけでなく色々な要素を含んでいて多様性に富んだ、そして良い意味で一番メタルらしくないアルバムだからです。そもそも私がメタルファンではないので…

なおこの曲名は陰陽座の一番のヒット曲である「甲賀忍法帖」がオープニングテーマとして起用されていた2005年のテレビアニメ「バジリスク ~甲賀忍法帖~」のキャッチコピーがそのまま使われたものです。

11年の歳月が過ぎてこの言葉がやっと陰陽座の曲名として登場したことになります。なおこの楽曲はバジリスクのスロットで流れる曲としてタイアップ起用されました。

個人的なエピソードがあります。この曲ができる前、大学のアニメ好きの友達に「陰陽座好きなんだよねー」と話した時に「愛する者よ死に候えが俺のお気に入り!」という返事が返ってきたので、そんなタイトルの曲はないと言いました。

そして、その友達が「愛する者よ死に候え」だと主張するその曲を携帯で流してもらったところ、それは「バジリスク ~甲賀忍法帖~」のエンディングテーマを担当していた水樹奈々の楽曲「ヒメムラサキ」でした。拍子抜けしましたがその当時はまさかその曲名が陰陽座に登場するなど思いもしませんでした。

楽曲レビュー

陰陽座にしては高速のメタル然とした楽曲です。サビをベース・ボーカルの瞬火が、サビをボーカルの黒猫が歌うという構成ですが、歌が非常にメロディアスで二人の歌唱力も生きています。

陰陽座のメタル系スピード曲はメロディアスさを抑えていることが多いのですが、これはメタルファンでなくても楽しめるメタル楽曲になっているのではないかなと思います。

私は黒猫による高音のBメロが大好きで、このような激しい曲の真っ只中に天から降りてきたように透き通った声がふと入ってくる演出に惚れました。

黒猫だけでなく、サビにおける瞬火の歌声とビブラートもかなりいい味を出していると思います。

ツインギターの招鬼・狩姦による長くて派手なギターソロも魅力なので、このパートはぜひ弾いている映像とともに聴きたいですね。キーボード・ドラムはサポートメンバーですが、キーボードによるシンフォニックメタル的アレンジや和楽器的な音、そして激しく力強いドラムの演奏もこの楽曲に大いに貢献しています。

陰陽座の作品は常にレベルが高く、完璧主義者(瞬火)ならではの隙のなさが楽しめるので毎回新作を楽しみにしています。

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