Anathema: アーティスト紹介

The Beatlesと同郷・イングランドのリヴァプール出身のロックバンドAnathemaのアーティスト紹介です。私の最も好きなバンドの一つなのでおすすめです。

Anathema

Anathema(アナセマ)はイングランド・リヴァプール出身のバンドです。Anathemaがどのジャンルに属するかというのは難しい問題で、なぜなら音楽性の変化が激しいからです。

1990年に結成され、その音楽性によって熱心なファンからの絶大な支持を得ていますが、一般的な知名度はそこまで高くありません。日本にもファンは少ないはずです。

Anathemaとの出会い

私はプログレッシブロックの文脈でAnathemaの存在を知っていたのですが、実際に聴いてはいませんでした。

Anathemaを聴き始めたのは、ポーランド人の彼女と音楽トークをしているときにAnathemaの楽曲のリンクをいくつか送ってくれて、その音楽に心を打たれたからです。

音楽のみに限っても彼女の感性は私にかなり近く、音楽の趣味で意見が合わないことはほとんどありません。

Anathemaは知り合って間もない段階で教えてくれたのですが、それからは一緒にAnathemaを聴くことが多くなり、ライブにまで行きました。

Anathemaの歴史

1990 Cavanagh三兄弟(Daniel, Vincent, Jamie)がボーカルとドラマーを加えてイングランド・リヴァプールでドゥームメタルバンドPagan Angelを結成。Danielは兄、VincentとJamieは1歳下の双子。

1992 1stEP “The Crestfallen”発表。Peaceville Recordsレーベルからのリリース。

1993 1stアルバム “Serenades”発表。

1995 2ndEP”Pentecost III”発表。ボーカルが脱退しギタリストのVincentがボーカルを兼任し始めバンドがゴシックメタル寄りになる。2ndアルバム”The Silent Enigma”発表。

1996 3rdアルバム”Eternity”発表。ボーカルでのデスボイスの使用をやめる。

1998 4thアルバム”Alternative 4″発表。オリジナルメンバーでドラムのJohn Douglasが前年以来復帰。ここからサウンドがどんどんソフトになっていく。

1999 5thアルバム”Judgement”発表。ここからはMusic for Nationsレーベルからのリリース。このアルバムから現メンバーのボーカリストLee Dougas(ドラマーJohn Douglasの妹)がバンドに参加し始める。

2001 6thアルバム”A Fine Day to Exit”発表。1991年に脱退したJamie Cavanaghがバンドに復帰。さらにベスト+未発表音源集”Resonance”発表。

2002 “Resonance”に続き”Resonance 2″発表。Daniel CavanaghがAnathemaの元ベーシストDuncan PattersonのバンドAntimatterで活動するため脱退するが翌年復帰する。

2003 7thアルバム”A Natural Disaster”発表。

2008 過去楽曲のアコースティック再録盤”Hindsight”発表。ここからはKscopeレーベルからのリリース。

2010 8thアルバム”We’re Here Because We’re Here”発表。Lee Douglasが正式メンバーとなる。音楽性がプログレッシブロック寄りになる。

2011 過去楽曲のオーケストラ再録盤”Falling Deeper”発表。

2012 9thアルバム”Weather Systems”発表。Daniel Cardosoがキーボードとして正式メンバーとなる。

2013 ライブアルバム”Universal”発表。

2014 10thアルバム”Distant Satellites”発表。エレクトロニカ的な要素を導入する。

2015 アコースティックライブアルバム”A Sort of Homecoming”発表。

2017 11thアルバム”The Optimist”発表。音楽性がオルタナティブロック寄りになる。

作品紹介

各アルバムから1曲ずつ紹介していきます。

They (Will Always) Die (1stアルバム”Serenades”より)

ドゥームメタルらしさに溢れた曲です。現在のバンドの方向性からは想像できない音楽です。

The Silent Enigma (2ndアルバム”The Silent Enigma”より)

ドゥームメタルですが、聴きやすいです。90年代、AnathemaはParadise LostやMy Dying Brideと共にドゥーム/ゴシックメタル界の最有力バンドに数えられていました。

つまり、Anathemaは音楽性を変えてから有名になったのではありません。初期に獲得したファンと、その後獲得したファンの両方が一定数いるのです。

YouTubeのコメント欄では最近のAnathemaの音楽性に不満を持つ初期ファンの声が見られます。確かに、”The Silent Enigma”の頃のAnathemaはドゥームメタルバンドとして最高級といえます。

Angelica (3rdアルバム”Eternity”より)

ドゥームメタルというよりはゴシックメタルに近づいたアルバムからの楽曲。繊細でこの上なく美しいバラードです。

Lost Control (4thアルバム”Alternative 4″より)

この後Anathemaは徐々にメタル色を排除していくことになります。この曲はドゥームメタル的な感性によって作られていますが、変化は感じられると思います。

One Last Goodbye (5thアルバム”Judgement”より)

このアルバムでは音楽性がニュートラルになりました。少しゴシック的であるものの、普通のオルタナティブロックに近いです。

この”One Last Goodbye”は名バラードです。

Pressure (6thアルバム”A Fine Day to Exit”より)

プログレ方面に接近していく過程のアルバム。”Pressure”はこのアルバムのオープニング曲で、非常にソフトな感触があります。

Flying (7thアルバム”A Natural Disaster”より)

このアルバムでは前作で起こった変化が推し進められています。

“Flying”はAnathemaの最高傑作の一つだと思っています。泣ける曲です。

Universal (8thアルバム”We’re Here Because We’re Here”より)

前アルバム”A Natural Disaster”から7年の空白を経て発表されたアルバム。すでに初期の陰気さの影はなく、光を連想させるような音楽になっています。それぞれの曲が長くなり、プログレ/ポストロック的なアプローチが随所に見られます。

Untouchable Part 1 (9thアルバム”Weather Systems”より)

前作”We’re Here Because We’re Here”の路線を継続し、更に極めたようなアルバムです。

この”Untouchable Part 1″は眩しいほど明るいです。

Ariel (10thアルバム”Distant Satellites”より)

前半を”We’re Here Because We’re Here”と”Weather Systems”の延長、後半をエレクトロニカ/ポストロック的な新路線への導入としたアルバム。

前半の曲達はどれも神がかっています。この”Ariel”も前半に収録されている曲です。

Springfield (11thアルバム”The Optimist”より)

前作の後半で見られたエレクトロニカ/ポストロック風の要素を軸に、オルタナティブロック的な雰囲気でまとめたアルバムです。また音楽性を変えてきました。

 

 

 

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