Flëur: “Эйфория” アルバムレビュー

ウクライナのフォークドゥオFlëurのアルバム“Эйфория”(2008)のレビューです。

Flëurのアルバム”Эйфория”

Flëur(フリョール)はウクライナ出身の女性二人組ユニットで、その音楽性は大人っぽいダークさとフォーク的な響きを兼ね備えています。ユニット名はキリル文字でФлёрとも書かれます。

Flëurは2017年に解散してしまいましたが、二人のメンバーОльга Пулатова(オリガ・プラタヴァ)とЕлена Войнаровская(エレーナ・ヴァイナロフスカヤ)は別々に現在も活動しています。

今回紹介するアルバム“Эйфория”(エイフォーリヤ)は2008年に発売された5thアルバムです。15曲入りで、1曲目はイントロになっていてそれ以降をオリガとエレーナが交互に担当しています。

トラックリスト

1. Интро – 0:34
2. Волна – 3:32
3. Отречение – 4:15
4. Новое матное слово – 5:06
5. Исполинские чёрные грифы – 3:18
6. Тёплые коты – 4:11
7. Эйфория – 5:22
8. Никто не должен прийти – 5:11
9. Два облака – 5:15
10. Ресница – 4:00
11. И солнце встаёт над руинами – 5:16
12. Река времён – 4:23
13. Коралловые небеса – 3:45
14. Мечты – 4:29
15. Мы никогда не умрём – 4:14

各曲レビュー

Интро

逆再生でしょうか。特にコメントはありません。

Волна

オリガの曲。テンポは速めです。Flëurらしいミステリアスながらも流麗なメロディが聞けます。フルートやピアノなど演奏スタイルは室内楽的です。聴きやすいと同時に凝った曲で、 非常に気に入りました。

Отречение

エレーナの曲。ミドルテンポです。ヴァースで聞ける弦楽器が刻むリズムが厳かで良いなと思いました。しかしサビの歌メロはFlëurにしては平凡な気がします。

Новое матное слово

オリガの曲。これも短調感が強いテンポが速めの曲です。これにもフルートが使われていて基本的には室内楽風です。しかしサビではディストーションのかかったボーカルと急き立てるようなリズムが切迫した空気を生み出しています。このサビが決め手になり、この曲は私の中でお気に入りのFlëur楽曲になりました。アコースティックなだけでなくヘヴィな演奏も聴けるのが良いところです。Flëurにしては珍しくアグレッシブさもあります。

Исполинские чёрные грифы

エレーナの曲。エレクトリックで不穏なイントロで始まります。テンポは速め。チェロやバイオリンなどが使われています。音作りにかなり工夫が凝らされていて聴いていて面白いというのがこの曲の魅力かなと思いました。

Тёплые коты

オリガの曲。バーなどで流れていても良さそうな雰囲気です。しかしFlëurから期待するような音ではあまりないです。

Эйфория

エレーナの曲。サウンドはシンプルですが憂鬱です。タイトル曲ですがあまり面白いところがありませんでした。

Никто не должен прийти

オリガの曲。再生機が壊れたかと思うような始まり方をします。高音スキャット(?)による奇抜なサビが特徴です。夜を思わせる音になっています。

Два облака

エレーナの曲。アルバムの前にこの曲をタイトルトラックにしたEPが出ましたが、アルバムバージョンの方が少し長いです。Flëurらしい曲ですが、キャッチーなメロディが曲を聴きやすくしています。少し単純すぎる気もしますが、シングルにはふさわしいと思います。

Ресница

オリガの曲。美しいピアノとフルートによるイントロに癒されます。全体的に綺麗な曲です。オリガの曲には不気味なものが多いですが、これは安心して聴けます。

И солнце встаёт над руинами

エレーナの曲。アコースティックギターを伴奏にした静かな楽曲です。翳りのあるメロディが素敵です。

Река времён

オリガの曲。不思議なメロディに魔力が宿っています。音使いが美しいです。

Коралловые небеса

エレーナの曲。妙に歯切れのよいイントロやヴァース部分のドラムの特徴的なフレーズなど、リズムに工夫が凝らされている楽曲です。

Мечты

オリガの曲。ゆったりとして悲しげなバラードです。

Мы никогда не умрём

エレーナの曲。雰囲気のよいミドルテンポの楽曲で、全体的にバランスがとれていて美しいいです。

まとめ

アルバムとして見ると、全15曲もある上に中盤に弱い曲が並んでいるので聴いていて長く感じてしまいます。これがこのアルバムの欠点でしょう。

それでも注目に値するような優れた曲もいくつか、特に序盤にあるので、Flëurを聴く上で押さえておいた方が良い作品です。

私はFlëurを聴く時に流しっぱなしにすることが多く、一曲一曲集中して聴くことがあまりないのですが、他のアルバムのレビューも書けるように聴き込んでみようと思います。

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