ノルウェーのフォークロックバンドLumskのアルバム“Åsmund Frægdegjevar”(2003)のレビューです。
Lumskと”Åsmund Frægdegjevar”
Lumskはノルウェーのフォークメタルバンドです。バンド自体についてはあまり調べていません。何かのレビューサイトを見ていて見つけました。
“Åsmund Frægdegjevar”はLumskの1stアルバムで、2003年に発売されたようです。なお、デビュー前に同タイトルのデモが出ているようです。
この項ではあまり語ることがないので内容に入ります。歌詞はノルウェー語です。
トラックリスト
- Det Var Irlands Kongi Bold – 2:08
- Ormin Lange – 4:45
- Skip Under Lide – 5:35
- I Trollehender – 3:11 ★
- Hår Som Spunnid Gull – 2:08 ★
- Slepp Meg – 4:23
- Skomegyvri – 6:25 ★
- Olafs Belti – 4:46
- I Lytinne Två – 3:54
- Langt Nord I Trollebotten – 3:34
- Fagran Fljotan Folen – 7:24
- Kampen Mot Bergetrolli – 4:07
- Der E Ingi Dag’e – 6:07 ★
各曲レビュー
Det Var Irlands Kongi Bold
少しヴァイキングっぽい雰囲気の短いインスト曲です。ゲーム音楽にも使えそうです。このバンドの特徴であるフォーク調とメタル調のコンビネーションが見られます。
Ormin Lange
シンセの上で男性ボーカルが叫びます。戦いのようなSEが流れ、これもゲームの中の世界のようです。
インストはヘヴィで、ジャリジャリとしたディストーションギターの音色が印象的です。
後半でようやくボーカルが入ります。ボーカルは男性と女性どちらも歌っていて、その背景でギターが高速で低音を刻んでいます。非常にヘヴィな楽曲ですが聴きやすいです。
Lumskはメロディが良いのですが、この曲では少し平凡かなと思いました。演奏はプログレッシブでもあります。
Skip Under Lide
前曲からノンストップで繋がっています。やはりこの曲でも非常にヘヴィなギターが聴けます。変拍子も多いです。
ボーカルは男性による多声コーラス。ノルウェーのバンドなのでどうしてもヴァイキングを連想してしまいます。テンポは速くも遅くもなく私の好きな感じです。もっと遅くても良いですが。
女性ボーカルも参加しており、民謡的な歌唱を聴かせてくれます。この雰囲気がLumskです。
I Trollehender
この曲でもザクザクとしたギターが聴けます。フックのあるメロディが女性ボーカルによって歌われる印象的な曲です。
民謡に聞こえるのに同時にメタルであるというのは不思議な感覚ですね。
Hår Som Spunnid Gull
短い楽曲で、メタルではなくクラシカル・民族音楽的な演奏が聴けます。
女性ボーカルはのびのびと歌っており、綺麗な声質が生きています。
Slepp Meg
これもメタル色なしで始まります。民謡的かつ呪術的で少し不安を煽るようなメロディが繰り返されます。
後にサウンドがヘヴィになりますが、不協和音が使われていて不安定な響きがあります。ここまでなかったようなタイプの楽曲です。
Skomegyvri
6分半弱と少し長めの楽曲です。
ピアノとヴァイオリンによるクラシック的な演奏から始まり、メタルに移行します。このメタルに変わるときの空気の変化が素晴らしいです。
やはりメタル要素とフォーク要素の融合が素晴らしいです。ここまで綺麗にこの二つの要素を合わせることのできるバンドはあまりないような気がします。
女性ボーカルは普段より力強く、翳りのある声で歌っています。しかしボーカルパートは少ないです。
Olafs Belti
サウンドはヘヴィですが、珍しく明るめの楽曲です。跳ねるようなボーカルがフォークっぽいです。男性ボーカルも登場します。
メタル的な音は使われていますが、割合は少ないためどちらかというと軽快な印象を与えます。
I Lytinne Två
こちらも跳ねるようなリズムが特徴の男女混合ボーカルの曲です。
アルバム序盤の曲にあったような暗さはなく、軽く聴けます。それでもやはりギターの音は極端に歪んでいます。これがこのバンドの音の代名詞ともいえるかもしれません。
Langt Nord I Trollebotten
インストゥルメンタルトラックです。様々なフレーズが複雑に混ざり合った演奏が秀逸かつ印象的です。徐々に音が重くなっていく感じが良いです。
Fagran Fljotan Folen
アルバム中最も長い曲で、7分半近くあります。前の曲からほぼ無音で続きます。
テンポは遅めで、音もいつも通り重いのでどっしりとした印象があります。展開は遅いですが、雰囲気を味わえれば退屈しないはずです。
Kampen Mot Bergetrolli
変化に富んだダイナミックな演奏が聴けます。ギターはアグレッシブですが、テンポが速くないのでそこまで激しくありません。
Der E Ingi Dag’e
女性ボーカルの綺麗な歌声が響く静かなバラードです。伴奏はシンセのみで、歌が堪能できます。メロディも素晴らしいです。
収録時間は6分ありますが、最初の曲は3分くらいで終わり、その後は無音を経てフォーク的な演奏に切り替わります。こちらもなかなか良いです。
まとめ
フォークとメタルを上手く融合させていてその上聴きやすいLumskは、フォーク好きなリスナーに十分アピールすると思います。
知名度はあまり高くないようですが、調べてみるとこのバンドについて書かれているウェブサイトがいくつかありました。こういう音楽が好きな人たちにもっと知られれば良いなと思います。