Nucleus Torn(ニュークリアス・トーン)はスイスのネオフォーク・エクスペリメンタルメタルバンドです。私のおすすめなのでここで紹介します。
Nucleus Tornの音楽性
彼らの、というよりFredy Schnyderの作る音楽は独特です。Fredy SchnyderはNucleus Tornのリーダー・作曲者であり、いくつもの楽器を操るマルチミュージシャンです。Nucleus Torn = Fredy Schnyderと考えて良いでしょう。
Nucleus Tornの音楽に含まれるのはフォーク・クラシック・メタルなどの要素です。しかしこういった分類に縛られないFredy Schnyderの創造性がNucleus Tornの音楽を唯一無二のものにしています。
Nucleus Tornのリスナー層の多数を占めるのはネオフォークファン、プログレファンと思われます。
こちらのインタビューは彼の音楽活動に対する姿勢を知ることができる貴重な資料です。英語(またはイタリア語でも読めます)で書かれていますが、興味のある方は読んでみてください。
なお、Nucleus Tornはライブをしたことのないスタジオ完結型のバンドです。Fredy Schnyderが作品を生で演奏する気がないというのがその理由です。
私はNucleus Tornのユニークさ、サウンドの奥深さ、そして絶対音楽主義的で徹底されたアート性に魅了されました。
Nucleus Tornの歴史
初期
Nucleus Tornは1997年にマルチミュージシャンであるFredy Schnyderによって立ち上げられました。
最初に制作されたのはKrähenköniginという作品で、1998年に録音されました。しかしこれは2004年にようやくリリースされることになります。
Nucleus Tornは2006年に1stアルバムを発売する前に3枚のEPをリリースしています。2001年作の“Silver”, 2003年作の“Submission”, そして2004年作の“Krähenkönigin”です。
これらの作品は後に発売されたコンピレーションアルバム“Travellers”で聴くことができます。
三部作
Nucleus Tornの1stから3rdアルバムは三部作となっていて、それぞれ2006年、2008年、2010年に発表されています。
♪Traveller’s Rest – “Nihil”(2006)より
当時のNucleus Tornのボーカルは男性(Patrick Schaad)と女性(Maria D’Alessandro)の二人でしたが、この曲では男性が歌っています。Nucleus Torn独特の幽玄さとメタルの音が共存した楽曲です。
♪Knell I – “Knell”(2008)より
Knellはアルバム全体で1曲になっており、4つのパートからなります。
♪Andromeda Awaiting 2 – “Andromeda Awaiting”(2010)より
このアルバムも全体で1曲です。メタル要素がなくクラシカルな響きを持ったアルバムです。
三部作のラストとなる”Andromeda Awaiting”と同時に発売されたのがコンピレーションアルバム”Travellers”です。
♪Krähenkönigin I – “Travellers”(2010)より
クラシックギターの独奏曲です。
また、”Krähenkönigin III”が2010年にNucleus Tornの所属レーベルProphecy Productionsのコンピレーションアルバム”Whom the Moon a Nightsong Sings”に収録されました。
三部作以降
その後2011年にこれまでに発売された三部作の前編という位置づけのアルバム“Golden Age”がリリースされました。
♪Golden Age – “Golden Age”(2011)より
このアルバムでは同じくスイス出身のフォークメタルバンドEluveitieのボーカル・ハーディガーディ奏者であるAnna Murphyをボーカリストとして迎えています。これまでに歌っていた2人のボーカリストも参加しています。
この”Golden Age”がNucleus Tornのディスコグラフィの中で最も聴きやすいアルバムではないかなと思います。
この後、Nucleus Tornは二部作を発表します。2014年作5th“Street Lights Fail”と2015年作“Neon Light Eternal”です。それぞれ3曲からなる40分程度のアルバムです。
♪- – “Street Lights Fail”(2014)より
短縮版。タイトルはMinusと読みます。
♪A Declaration of Mistrust – “Neon Light Eternal”(2015)より
短縮版。元々は約23分ある曲です。
Fredy Schnyderはこの”Street Lights Fail”と”Neon Light Eternal”を以てNucleus Tornがやるべきことをやり切ったと宣言し、自らバンドの歴史に幕を下ろしました。それ以降Fredyは”Golden Age”からボーカリストとして参加していたAnna Murphyの他バンドを中心にレコーディングサポートを行っています。
ディスコグラフィ
- Silver (2001, EP)
- Submission (2003, デモ)
- Krähenkönigin (2004, EP)
- Nihil (2006)
- Knell (2008)
- Andromeda Awaiting (2010)
- Travellers (2010, コンピレーション)
- Golden Age (2011)
- Street Light Fail (2014)
- Neon Light Eternal (2015)
- Blowing Up the Entire World: Explosions 1997-2015 (2015, DVD-Audio3枚組のNucleus Torn全集)
Anna Murphyの参加バンド案内
- Eluveitie
- Anna Murphy(ソロ)
- Cellar Darling
- Fräkmündt
- Godnr. universe
- Lethe