Alcest: “Sur L’Autre Rive Je T’Attendrai” 楽曲レビュー

フランスのポストブラックメタルプロジェクトAlcestのアルバム”Souvenirs D’Un Autre Monde”(2007)に収録されている楽曲“Sur L’Autre Rive Je T’Attendrai”のレビューです。

Alcest “Sur L’Autre Rive Je T’Attendrai”

Alcest(アルセスト)はフランスのブラックメタルミュージシャンNeigeによるプロジェクトです。Alcestのジャンルはブラックメタルとされますが、実際はポストロックとシューゲイザーの要素が混ざって耳当たりが良くなっています。そのため、ブラックメタルを聴かない人でも楽しめると思います。特に今回紹介する楽曲が収録されているアルバムは聴きやすいです。

“Sur L’Autre Rive Je T’Attendrai”はAlcestの1stアルバム“Souvenirs D’Un Autre Monde”の収録曲で、タイトルは「向こう岸であなたを待つ」というような意味です。

私はAlcestの国内盤CDを持っていないのでこの曲に邦題がつけられているのか、つけられているとしたらどんなものがついているのかわかりませんが、自身フランス語を習ったことがある上毎回フランス語専攻の友達に確認してもらっているのでAlcestの曲名の翻訳は大丈夫だと思います。

楽曲のレビュー

イントロからいつも通りギターの轟音が聴けますが、このメロディがかなり印象的でした。ボーカルにも使われているのでこの曲のテーマということで間違いないと思いますが、これがアルバムのイメージをよく表しています。

Neigeは他のアルバムでグロウルも使用していますがこのアルバムでは全編クリーンボイスで歌っていて、その歌声が男の人の声とは思えないほど繊細で優しく、音楽に独特の印象を与えています。リスナーの頭の中を埋め尽くすようなギターの嵐の中からこのような音が聞こえてくると本当に夢を見ているような気分になります。

フェードアウトからの波の音に続いてクリーンギターがリードしていく後半は落ち着いたパートで前半とは全く違う曲のようですが、ここもなかなか美しいので聴きどころです。

アルバムを通して聴いてみるとこのギターの轟音によるパートの割合が全体を通してかなり多いためどの曲も似通ったように聞こえてしまうという点は指摘しなければなりませんが、少なくとも一つの楽曲としてこれは完成された芸術だなと思いました。

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