Entwine: “Say Goodbye” 楽曲レビュー

フィンランドのゴシックメタルバンドEntwineのアルバム”Painstained”(2009)収録の楽曲“Say Goodbye”のレビューです。

Entwine “Say Goodbye”

Entwineフィンランドのゴシックメタルバンドです。1995年にKaamosという名前で結成され当初はデスメタルバンドとして活動していましたが、後に音楽性が変化しメランコリックメタルとも呼べるようなバンドになりました。ボーカルのMika Tauriainenの声はメタルバンドのボーカルとは思えないほど繊細で、それがバンドの味になっています。

2018年現在7枚のアルバムを発表していて、この“Say Goodbye”が収録されている“Painstained”は2009年に発売された6枚目にあたります。個人的に一番好きなのは2001年発売の2ndアルバム”Gone”ですが、”Say Goodbye”は個人的に大事な作品で大好きなので紹介することにしました。

この曲はポーランド留学中に出会った彼女に教えてもらった曲です。運命の相手との間でしか起こらないような奇跡の連続で私たちの交友は始まったのですが、感情があまりにも強すぎたせいで付き合い始める前にお互い気持ちに反して理性から関係を絶つことになりました。

そうして心に穴が開いたような気分で過ごした時期に、よく街を歩きながらこの”Say Goodbye”を聴いていました。あの時は全て終わってしまったと思いました。結果的にはまた一緒になることができたのですが、当時の心の痛みは耐えられないほどでした。

楽曲のレビュー

シリアスなピアノのフレーズで始まり鬱系のボーカルが入るところまではメタルバンドらしくない曲調ですが、すぐに重々しいサウンドが顔を出します。

私はこの低音ディストーションギターを聴いているだけで感情が揺さぶられてしまいます。あまり速くないテンポでここまで圧のあるギターを入れてくる音楽はそこまで多くないはずです。

サビのメロディは一度耳にするだけで忘れられなくなってしまうほどメランコリックで、これをMikaが歌い上げることによりこれぞEntwine!という味が出ています。やはりメタルを歌うのに声が強いだけでは個性が出ませんからね。

一度目のサビが終わってこれでもかというほどへヴィな間奏が入るのも大好きなところです。 楽曲が短く単純な歌ものであるからこそサウンドにおけるアクセントが大事になってきます。

後半は演奏のテンションが最高潮に達したままサビのキラーメロディの繰り返しによって畳みかけてきます。この絶唱に心が動かされない人はなかなかいないでしょう。

アルバムとしては成功と言えるかどうかわかりませんが、少なくともこの楽曲はEntwineの最も泣ける曲の一つとして君臨していると思います。

 

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