ベルギーのブラックメタル/ですドゥームバンドThurisazのアルバム“Scent of a Dream”収録の楽曲“Years of Silence”の紹介です。
Thurisaz
Thurisazはベルギー出身のブラックメタル/デスドゥームバンドです。バンドのバイオグラフィに関しては全くわからず調べなければなりませんでしたが、バンド自体は1997年に結成されていて2018年現在までで4枚のスタジオアルバムをリリースしています。
この”Years of Silence”は彼らの1stアルバムである“Scent of a Dream”の収録曲です。
私がこのバンドを知ったのは、イギリスのロックバンドAnathemaの大ファンであるポーランド人の彼女が「この曲すごいから聴いて!しかもこのバンドAnathemaのNatural Disasterもカバーしてるよ」といきなりリンクを送ってきたのがきっかけです。
彼女は耳が肥えていていつも良い音楽を見つけてきてくれるのですが。それがなければこの曲を知らなかったんだと思うと恐ろしい、それくらいに好きな曲です。
暗い曲ですが、気分に関わらずいつ聴いても幸せになれます。
楽曲レビュー
Years of Silenceは激しい音楽を奏でるThurisazにしては穏やかで抒情性を前面に押し出した楽曲です。とはいってもスクリームやブラックメタル的なトレモロも登場します。
私はそこまで激しいものを聴きませんが、こういう要素が入っていてもある程度は大丈夫なので問題なく聴けました。
それでも実は、つい最近までグロウルが入るだけで無条件でギブアップするくらい耐性がなかったのでここまで耳を鍛えるのには時間がかかりました。現在ではブラックメタルなども音楽自体が自分の好みに合っていれば怖がらず聴いています。
というわけでこの曲、私が本当に愛している楽曲の一つで普段から聴いています。留学中はバスで学校に通っており通学時間が暇だったためいつも音楽を聴いていたのですが、よくこの曲を選んでいました。
哀しさと凶暴さが共存する頽廃的な雰囲気がこの曲の特徴で、激しいながらもメロディアスで全く下品さを感じさせないというのが秀でた点だと思います。ついでですがアルバムジャケットも非常に良いなと思いました。
曲の導入部など静かなパートを聴いているとすぐにその哀愁に魅了され、同じ楽曲にスクリームはおろかメタル的アプローチが現れることすら信じがたいような印象を受けます。
しかし一度曲が表情を変えてしまうと、最初からこうあるべきだったんだと感じることになります。そしてそれなしではこの曲が想像できなくなってしまう、そんな説得力のある構成が見事です。
お気に入りなのは”Take me back home, bring me to where all ends”という歌詞がある部分でギターの暴力的な連打が聴けるところ。抒情的なパートも美しくはありますが、やはりこれがあってこそのこの楽曲かなと思います。
激しいわりに聴いていて非常に心地よく、幸せな時でも辛い時でも関係なく聴けてしまう楽曲です。