訪問都市: Bydgoszcz(ブィドゴシュチュ) ※よく「ビドゴシチ」「ビドゴシュチ」「ビドゴシュチュ」などと書かれます。私が実用しているカナ表記ルールに従えば「ブィドゴシュチュ」ですが、個人的にはどれでも良いと思います。
訪問時期: 2018/2/4
私がポーランド語を始めるきっかけになったロックバンドの出身地を訪ねた時の記録です。
記事の一番下にある目次からBydgoszcz訪問記の各記事に飛ぶことができます。
Bygdoszczを訪れた理由
私が今までに行ったことのあるポーランドの街36か所を全て紹介したいという思いで書いている「ポーランド各都市訪問記」シリーズですが、このBydgoszcz編は一層気合を入れて書こうと思います。なぜなら、このBydgoszczという街が私にとって重要であり、ここを訪れたことがポーランド留学中最も記憶に残っている出来事の一つだからです。
Bydgoszczは、私の魂の住処ともいえる音楽が生まれた場所です。
小さい頃からショパンの音楽を聴いたりそれをピアノで弾いたり、ポーランドに触れる機会のあった私ですが、大学に入ってからポーランドに行くことを現実的に考え始めた理由はそれだけではありません。
大学1年の夏に起こったAbraxasというポーランドのロックバンドとの出会いが、ポーランド語の勉強を始めたきっかけです。そしてそれが原点となりポーランド一人旅・ポーランド留学へと発展していきます。
色々な出会いを経た現在では実に数多くのものが私とポーランドを繋いでいますが、最初はそれが音楽だけだったのです。
Abraxas(アブラクサス)はプログレッシブ・ロックに分類される音楽を演奏していたバンドで、1987年にBydgoszczで結成されました。1996年に1stアルバム”Abraxas”でデビューし、1998年に2ndアルバム”Centurie”, 1999年に3rdアルバム”99″を発表した後2000年に解散しました。
2000年にはポーランド美術を代表する画家Zdzisław Beksiński(ズジスワフ・ベクシンスキ)の息子でありAbraxasと親交があったポーランドの有名ラジオパーソナリティTomasz Beksiński(トマシュ・ベクシンスキ)の追悼ライブの模様を収めたアルバム“Live in Memoriam”が制作されており、これは私が最初に手に取ったAbraxasのCDでもあります。
この”Live in Memoriam”を初めて聴いた瞬間に体内の全神経に電流が走ったかのような衝撃を受け、同時に私の運命が決まってしまったのです。
間違いなくAbraxasの最高傑作である楽曲“Pokuszenie”です。
わざわざ聴くのは面倒だと思ったあなたも、この記事を読んでいる間くらいはこれをBGMにしてみてください。
Abraxasのアーティスト紹介記事を紹介しておくので、興味のある方はこちらもぜひお読みください。↓
Bydgoszczの基本情報
所属県: Województwo kujawsko-pomorskie(クヤヴィ=ポモジェ県)
人口: 約35万人(国内第8位) ※2017年
街を流れている川はBrda(ブルダ川)で、これはポーランド最大の川であるWisła(ヴィスワ川)の支流にあたります。街にはKanał Bydgoski(ブィドゴシュチュ運河)もあります。
またポーランド語を話す方にとって重要な情報として、「Bydgoszczは女性名詞」ということがあります。ポーランド語の名詞は語尾を見ればその名詞が男性名詞・女性名詞・中性名詞のどれなのかわかることが多いですが、子音で終わるものは男性名詞かもしれないし女性名詞かもしれません。
ポーランド人でもBydgoszczは男性名詞だと思い込んでいる人が多いですが、Bydgoszczは女性名詞です。格変化を間違えないようにしましょう。
Bydgoszczまでの道のり
私は当時Katowice(カトヴィツェ)という街に住んでいました。もう一度先ほどの地図を見てみましょう。
ポーランド南部、チェコやスロヴァキアとの国境の近くにKatowiceがあり、対してBydgoszczはポーランド北部にあります。電車だと6時間超かかる計算です。
元々Bydgoszczは一日で見れるだろうという計算をしていました。さらにBydgoszczにはユースホステルがほとんどなく、現地に宿泊するとなると多めにお金を出してホテルに泊まらなければいけません。この二つの理由からどうにかして日帰りで行きたかったのですが、さすがに6時間かかると日帰りは不可能です。
当時はすでに春休みに入っていて学校はなかったので、Bydgoszczを観光しながらも宿泊しなくてすむ方法を考えました。ポーランドの地図とにらめっこです。
私がとった方法は、Bydgoszcz観光前日の朝にWrocław(ヴロツワフ)に移動し、Wrocławを一日観光してユースホステルに泊まり、朝イチの電車でBydgoszczに移動し、一日観光して夜のKatowice行き電車に乗り、朝方にKatowiceに着くというものです。
そもそも春休みでせっかく時間があるから国内旅行でどこかに行かないともったいないと思ったのがBydgoszcz旅行を思いついたきっかけなので、この日程なら一泊だけで2都市をほぼ丸一日観光できるのでベストかなと思いました。
Wrocławである必要はなかったのですが、KatowiceからBydgoszczへの道中にあり(KatowiceからWrocławまでは電車で2時間、WrocławからBydgoszczまでは電車で4時間)、ユースホステルが多く、街自体も綺麗なので、これ以上の選択はないはずです。後にWrocławに通ったり最終的に住んだりすることになりますが、この時点ではそうなることを知らなかったので久しぶりにWrocławも見れるということでワクワクしました。
ということでBydgoszcz観光旅行のスケジュールは次のようになりました。
2018.02.03 08:56 Katowice発
2018.02.03 11:06 Wrocław着
Wrocław観光→Wrocław泊
2018.02.04 06:32 Wrocław発
2018.02.04 10:42 Bydgoszcz着
Bydgoszcz観光
2018.02.04 22:56 Bydgoszcz発
2018.02.05 05:18 Katowice着
(2月5日の昼間にKatowiceで友達との予定を入れてしまいましたが、なんとかなりました。)
この記事の本編は10時42分にBydgoszczに到着したところから始まり、22時56分にBydgoszczを後にしたところまで続きます。
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