リトアニア旅行エピソード: 思い出のEthno Baltic Shop

Ethno Baltic Shopというのはリトアニアの首都ヴィリニュスで見かけたエスニック雑貨店の名前です。この記事はこのお店での印象的な会話の記録です。

フリーマーケットKaziuko mugėに紛れて

Ethno Baltic Shopは、毎年3月にリトアニアの首都ヴィリニュスで行われる恒例イベントKaziuko mugėを回っている最中に見つけた、道の真ん中のスペースに建っているエスニック雑貨店です。

mugė自体がエスニックグッズの宝庫なのですが、手当たり次第にお土産を探していたのでここにも入店しました。Ethno Baltic Shopはテントではなく建物で、mugėの出店ではなく期間外でもそこにありますが。

mugėは楽しいのですが、この年は天気に恵まれませんでした。雨が降ったり止んだりで、その上お祭りなので人が多く、長時間いると疲れてきます。それもあって、Ethno Baltic Shopに迷わず入ってみました。

リトアニアだけでなくバルト地方のものをまとめて扱っていて、狭いお店ですが全体的にmugėの出店よりは少し物が良いかな?と思いました。

これがそのお店の写真です。実は、今回話題にしているヴィリニュス初滞在後はお店の名前すら思い出せないほど記憶があいまいでした。そこで、後にヴィリニュスを再訪した時に確認するとともに写真に収めてきました。

お土産店の店員

店番は40代後半くらいの女性で、客は私しかいなかったので自然と会話が始まりました。幸い店員さんは英語が流暢だったので、リトアニア語に自信のない私は少し安心して英語で話しました。お互いに自己紹介などから始めました。

私は「ポーランド旅行が目的でヨーロッパに来ましたが、mugėが見たくてリトアニアに寄りました。楽しいので来て良かったです。でもリトアニア語は難しすぎますね。それでも少し勉強したので…」など。

この店員さんは川の向こうにあるヴィリニュスの大学で建築学を教えている先生だそうです。川は恐らくNėris(ネリス)川のことで、ヴィリニュスでは旧市街の北側に出てこの川を越えると急に近代的で郊外風の世界が広がります。そのあたりに大学があるのでしょう。

大学の先生がなぜお土産店で物を売っているのかはわかりませんが、ここは旦那さんのお店で彼女は単に手伝いに来ているのだと勝手に推測しています。結局30分程度話していたと思います。

旧市街の風景

Nėris川の向こう

建築だけを見ても数世紀の時差がありますが、店員さんの専門はどちらなのでしょうか。

店員さんの言葉

「うちの大学にはアジアからの学生が多く、総じて真面目でよく勉強しますよ。日本人はあまり見たことがないですが、中国人と韓国人は結構います。

ポーランドといえば、リトアニア人は意外とポーランド語がわかるんです。でも話したがりません。歴史的に複雑な感情がありますから…。

ところで、私達には日本人と韓国人の区別が難しいけれどあなたたちは一緒にされるのを嫌がるでしょう。韓国人の学生からそういう話を聞きました。私はそれがリトアニア人のポーランドに対する感情と似ていると思ってます。

私はポーランド語がわからないけれど、今のリトアニアについて言えば“過去からくる感情にしがみついているだけでは前進できない”と思っています」

印象的な言葉でした。年齢的に彼女は独立回復後の転換期をまともに経験している世代でしょう。リトアニアが世界一の自殺率をマークしていた時代です。

Ethno Baltic Shopで買ったもの

軽く店内の説明を聞いた後、私の目はEthnic Musicと書かれた小さなCDコーナーへ。私の好きなAistė Smilgevičiūtė ir SKYLĖのCDが何枚かあったので「リトアニアの音楽の中ではこれがお気に入りで、これと同じCDを持ってます」と言いました。

この辺りは記憶が曖昧ですが、店員さんは「私は自分の国のエスニック系は聴きませんがうちの息子が好きで、それでここにあるんですよ」とおっしゃっていたと思います。

同じ棚にはリトアニアにいる間に探そうと思っていたPievosというグループのCDが2枚あったのでこれを買いたいと言いました。

「ところでグループ名と作品名は読めますか?」と聞かれたのでPievosとアルバム名のPaprastas pasaulis, Likimasを読み上げ意味を付け加えました。pasaulisはworldで、likimasはdestinyです。paprastas(=simple)は習ったのですが思い出せませんでした。

「すごい!外国人がリトアニア語のieを読めるというだけでもリトアニア人は驚きますよ」とお褒めの言葉をいただきました。CDは各10ユーロでしたが、2枚買ってくれるならと1ユーロおまけしてくれました。

この二枚。左のLikimasは2016年発売の4作目で、右のPaprastas pasaulisは2010年発売の3作目。

この時買ったCDは日本に帰ってから聴きましたが、Likimasがあまりにも素晴らしかったです。

後日同じ場所を通ったのでこのお店を覗いてみましたが、彼女の姿はなく店員さんは男性一人でした。

再訪

2018年夏、三度目のヴィリニュス訪問をしたときにこのお店に行ってみました。

その時はリトアニアのネオフォークグループGyvataのアルバムを買いました。このお店にはお世話になっています。

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