[ポーランド留学]大学の授業2: 世界の言語

ポーランド留学中に大学で受けた授業の紹介です。今回はJęzyki w świecieという科目です。

授業の構成・講師

これは国際ポーランド学学科の学士課程一年生向けの授業です。講義と演習に分かれていました。

この科目でも講義と演習の先生は別でした。講義の先生はポーランド言語文化学校(ポーランド語を勉強する外国人向けの学校です)の校長で、本もいくつも出している教授職の女性の方でした。60歳くらいです。

彼女は典型的なシロンスク(大学のあるカトヴィツェが属する地方)の女性で、元気いっぱいでクセも強い人です。

演習の先生は、東京外国語大学ポーランド語学科で教鞭をとられていたこともある40代の感じの良い女性で、学位は博士です。この先生とは他の場所でも関わることがあり、私の留学を良いものにしてくれました。

講義の内容

講義では、類型論的な切り口で世界の様々な言語について学びました。重要なテーマの例を以下にまとめてみました。

・世界の言語の重要度をランキングにするとき、話者数・第二言語としての話者数・どこで公用語になっているかなど、様々な基準がある

・世界には3000から6000の言語があり、数え方によってその数字は変動する。パプアニューギニアには600万人しか人口がいないのに800もの言語がある

・力のない言語はどんどん死語になっていくが、反対に言語同士の衝突が新しい言語を生むこともある

・言語をグループ分けするときには通時言語学的方法と共時言語学的方法の二つのアプローチがあり、通時言語学的にまとめたグループは語族で、共時言語学的にまとめたグループは言語連合である

・屈折語、膠着語、孤立語など、言語を統語論的に分類することができる。ポーランド語は屈折語、日本語は膠着語、中国語は孤立語である

・音韻論的な分類も可能で、子音と母音のバランスで分けたり音素の数で分けたりすることが可能である

・ポーランドのカシューブ地方で話されているカシューブ語は正式に独立した言語として認められているが、それより話者数の多いシレジア語(シロンスク地方の方言)は言語として認められておらず方言止まりである

・どれが言語でどれが方言かは言語学的というよりも政治的な問題であり、国によって承認している言語が違うことも多い

情報量は多かったものの、面白いテーマばかりだったので楽しく授業を受けることができました。

演習の内容

演習では、授業で扱っている言語が実際にどんな感じなのか、テキストを読んだり実際に母語話者を呼んだりして体験していきました。

ヨーロッパの大学ということでヨーロッパの言語を中心に勉強したので、インド=ヨーロッパ語族に属する各語派について学び、どの言語がどの語派に属するか見分けられるようにしました。

また、ヨーロッパの国々のうちハンガリー、フィンランド、エストニアはインド=ヨーロッパ語族に属しない言語を主に使っているということも勉強しました。

インド=ヨーロッパ語族という概念を学んだあと、ポーランド語が属するスラヴ語派について詳しく勉強しました。東スラヴ語群・西スラヴ語群・南スラヴ語群という3つの下位グループがあることを学び、それぞれのグループにどんな言語が含まれるかを学びました。

アジア、アフリカなどの言語についても少し勉強しました。私がプレゼンをしたり中国人留学生を読んでプレゼンをしてもらったり、南アフリカからの学生が授業をしたりしてくれました。

他にも、スロヴァキア人とイタリア人が授業をしにきてくれました。

授業の雰囲気は非常に明るく、無駄に緊張することなくのびのびと勉強できました。私は元から言語に関する本をたくさん読んでいたので、こいつは物知りだと驚かれました。

まとめ

ポーランド語だけに目を向けるのではなく、世界中の言語を扱うことで言語というものに関する基本的な知識を身に付けることができる科目です。

面白い豆知識が度々登場し、受けていて楽しい授業でした。ここで得た知識は日本に帰ってきてからも役立っています。というわけで、これは受けて良かった授業です。

 

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