ポーランド語はルールを知った上で綴りを見ればほとんどの場合発音がわかる便利な言語ですが、例外が全くないわけではありません。
今回はその例外をまとめてみます。
目次
母音編
ł, lの前のąとę
一部の動詞では、過去形を作ると-ął, -ęła, -ęło, -ęli, -ęłyといった文字列が生まれます。この時ą, ęは鼻母音ではなくなり[o], [e]と発音されます。
語末のę
単語の最後の文字がęになる場合、このęの発音が変わります。鼻母音でなくなり[e]の発音になるというのが基本です。
しかし、語末のęが[e]になることによって意味上の区別が困難になる場合もあるので、軽く鼻音性を残した発音も可です。
例: żyję(「生きる」の1人称単数) / żyje(「生きる」の3人称単数)
どちらにしても、語末のęをいつも通り[ę]と発音するのは正しくないとされています。
子音編
dz, rz, dżが別々に発音される場合
これらは2文字で綴る一つの子音として登場しましたが、別々に発音されるケースがあります。
dz [d+z]… 接頭辞odの後にzから始まる語根が繋がっている場合
接頭辞とは、主に派生語を作るときに足されて意味を付加するものです。英語を例に挙げましょう。inspect, respect, suspectという3つの単語ではspectという部品が共通です。残りのin-, re-, su-という部品はspect(ラテン語で「見る」という意味)に意味を付加して新しい語を生み出しました。この3つが接頭辞の例です。
ポーランド語にはod-という「起点」「分離」などを表す接頭辞がありますが、それに含まれるdがたまたまその後に来たzと隣同士になっても別々のままなのです。
例
odzywać się(オドズィヴァチ・シェ) – 消息を伝える
odzwyczaić się(オドズヴィチャイチ・シェ) – (習慣を)やめる
rzが別々に発音される場合
marznąć(凍える)という動詞があります。このrzはżと同じ発音にせずにrとzを別々に発音します。この単語から派生したzmarznąć, zmarznięty, wymarzać, wymarznąćなどの単語も同様です。
一つの音になるrzはr’が由来ですが、marznąćはmróz(霜)と同じでもともとrとzという二つの音だからです。
dżが別々に発音される場合
budżet(予算)という単語です。読みは「ブドジェト」となります。
有声のh
hはもともと有声子音で、ch / hというペアを構成していました。このことは発音に影響しませんが、語形変化に影響を及ぼすことがあります。
ńの発音
ńは発音が困難なため、本来nにあるはずの軟子音要素が自動的にnの前に移ります。「ィン」に近い発音になります。
例
dzień(ヂェィン) – 日
Gdańsk(グダィンスク) – グダンスク、グダニスク
qの発音
ポーランド語はラテン語から多くの語を借用しています。その時にポーランド語に普通使われないqという文字を読む必要が出てきます。
qの後にはふつう母音がくるのですが、qの発音はkwと同じになります。
例
Quo Vadis[kwo wadis] – クオ・ワディス(小説のタイトル)
ボーランド語の綴り通りに読まない例を一通り紹介しました。発音に関する話はこれで終わりで、次からは文法を学んでいきます。
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