この記事では「ポーランド語を勉強したい(している)けどどの教材を使えば良いのかわからない!」という方におすすめの教材を紹介します。
目次
ポーランド語学習教材
ポーランド語に関する内容を書いていく上で絶対書いておかなければならない話題だと思うので、私が持っているポーランド語教材の中からおすすめのもの、つまり使うことによって効果が出たものを紹介します。
日本でのポーランド語の学習環境
日本でポーランド語の授業を受けるのは容易ではありません。開講されている数少ない大学に行くか、それでなければ東京に住んでいて大学の公開講座に通える方以外だと厳しいです。
ポーランド語は日本ではあまり知られておらず国内では重要度も低いため、英語の教材のように名著から詐欺まがいのものまで入り混じった書店棚いっぱいの中から探すわけではありません。
日本でのポーランド語の知名度の低さは、「ポーランドに行く」という話をすると「そこって何語が使われてるの?」と聞かれるレベルです。
感覚的には、一般にマイナーで教材が足りないと言われるロシア語の学習者さえうらやましくなるほどにポーランド語の教材は少ないと思ってもらえれば良いです。
私事ではありますが、ロシア語検定の会場で居合わせた方と雑談していた時に「やっぱりロシア語って教材が少なすぎますよね~」という話題を振られました。
ポーランド語の方により力を入れている私は反射的に「え、多くないですか?」と言ってしまいました。振り返ってみると失礼な返答だったなと申し訳なくなります。
しかし少なくとも私が通っている書店の語学書コーナーを見るとロシア語教材30冊以上vsポーランド語教材約5冊という状況なのでした。正直なところ5冊でも恵まれていると思いますが。「ポーランド語はメジャー言語です」。
ポーランド語の辞書
外国語の学習に欠かせない辞書。初めて教科書を買ってとりあえずそれだけに集中している状況ならまだ買わなくても良いかもしれません。しかし、実用を始めたら辞書がないとどうにもなりません。
日本で発売されているポーランド語の辞書は2冊ですが、
木村彰一他編「白水社ポーランド語辞典」
実質この一択です。ポーランド語→日本語の辞書です。
この辞書の見出し語数は22000語余りで、巻末には簡単な日本語→ポーランド語の索引と、語の変化タイプごとに番号で整理された変化表(これが非常に役に立ちます!)がついています。
サイズはコンパクトで、もちろん衣服のポケットには入りませんが持ち運びにもあまり苦労しません。
この辞書で見つからない単語はないとは言えませんが、逆にこの辞書に載っている中で覚えても役に立たないような語はあまりないと思います。22000語といえばかなりの数ですよね。
別言語なので単純比較はできませんが、日本の大学入試で必要な英単語の数の目安が5000語と言われています。私は英語なら10000語くらいです。
また英語では、日常会話に必要なのが2000語、新聞などを読むために必要なのが5000語といわれていますね。
私はポーランド人向けの本も読むのでこの辞書に載っていない単語もある程度知っていますが、試しにこの辞書から50ページごとに15ページ抜き出してそれらに含まれる単語のうち受動的であれ知っているものの割合を計算したところ約70パーセントでした。
この辞書の見出し語数を22000とするとこの辞書中だけでも私の語彙は15000語以上(?)となりますが、果たしてそんなにあるかどうか…
メリット
- コンパクトで気軽に開ける
- 変化表が便利(この辞書の最大の強みです。)
- 変化表から外れる不規則変化は見出し語の横に示されている(最初システムがわかりにくいかもしれませんが、慣れると問題ないです。)
- 丈夫なので長く使える(筆者の感想です。今まで何千回引いたかわかりませんがバラバラになる気配なし。)
- 収録語の選択が適切
デメリット
- 用例が少ない(見たところこれが一番痛いです。)
- 動詞の接続に関する情報が不完全(自動詞なのか他動詞なのかわからない、目的語にどの格をとるのかわかりにくい場合があります。)
なお、ポーランド語が上達したら必ずポーランド語からポーランド語の辞書を買いましょう。
ポーランド語の入門テキスト
入門テキストは挫折→再挑戦を繰り返さない限りそう何冊もやるものではないので、私が使ったのは1冊です。
石井哲士朗・三井レナータ著「ニューエクスプレス ポーランド語」
語学の入門書の有名シリーズ「ニューエクスプレス」です。
ポーランド語を見たことすらない人が始めても大丈夫なように文字と発音に始まり、それぞれテキストが会話になっている全20課を通してある程度ポーランド語の全体像が見えてくるレベルまで進みます。
最近の語学書ならほとんどがそうですがCDが付属しているので、初期段階から音声を伴った学習ができるのもポイントです。
ニューエクスプレスはシリーズ物なので、特性上どの言語のニューエクスプレスを見ても構成・レイアウトが統一されています。
全20課という限られた分量の中でポーランド語の複雑な文法の基本を扱うため、それぞれのポイントの説明は必然的に短くなります。そのため、学習者自身が急がずに一つ一つの項目をよく見て理解できたかどうか確認しながら進む必要があります。そうしないとかえってタイムロスになる可能性があるのでそこには留意しなければなりません。
この本をおすすめする理由としては、
- 新規学習者にも無理のない構成
- 明快な説明
- 2課ごとに練習問題がある
- 一つ上のレベルの教科書に繋ぐための基礎知識を網羅している
などが挙げられます。
なお、最近新しいポーランド語の入門書として
渡辺克義著「一冊目のポーランド語」
という本が発売されました。そちらも確認したいところですが、私にはもう入門書が必要ないので買っていません。気になる方は書店で見比べてみると良いかもしれません。
ポーランド語の文法書
(はじめに。文法書を使い始める前に入門書を一冊終えることをおすすめしています。)
順を追って進む入門書で生まれる疑問点、解説しきれない点を補う役割を果たす文法書は言語のシステムを理解するうえで非常に重要なので、少なくとも一冊はお家に置いておきたいところです。
ポーランド語に限らず、体系的な学習を経ずともその外国語でコミュニケーションを成立させることは可能ですし、母語話者であっても間違えることがあります。それが言語というものです。
しかし、言葉が通じればそれ以上何もしなくて良いかといえば否です。「間違えたらダメ」ではなく、「より良いものを目指す努力を怠るな」という意味でですよ。
ポーランド人はポーランド語がわかる外国人を褒めてくれることが多いです。あなたのポーランド語を「美しい」と言ってもらうためにも、文法書で勉強してみましょう!
私が使ったのは
石井哲士郎著「明解ポーランド語文法」
という本です。2015年末に発売されているのでかなり新しい本です。
「ニューエクスプレス ポーランド語」と同じ著者で、しかもニューエクスプレス終了レベルの方が次の教科書として始めるにはちょうど良い内容です。
この本は必ずしも前から順に読むわけではなく、必要に応じて参照用としても使うことになると思います。参照専用でも良いですが、本腰を入れてポーランド語を勉強するならこの本の内容を全て丁寧にさらった方が良いでしょう。
早めに言っておかなければいけませんが、この文法書を網羅するのは中途半端な気力では不可能です。
タイトルの通り解説がとてもわかりやすいのですが、本のレイアウト自体はシンプルで飾り気もありません。白黒の説明を一つ一つ抑えて大量の例文をしっかり分析しながら、約200ページにわたる文法編を牛歩で進んでいくのです。
私はこの文法書を2ヶ月くらいかけて全てさらいましたが、その期間は大学で授業を受けアルバイトもしながら毎日最低3~4時間はこの本を開いていた記憶があります。
これが終わった時、2ヶ月前に比べてポーランド語の理解が飛躍的に上昇しているのを感じ、頑張ってよかったと思いました。
私の場合は既にポーランド語を実用していたので挫折するという選択肢がありませんでした。そのおかげで最後のページに到達するまで「なかなか終わらないな…」と思い続けるだけで済みました。
しかし、私より忙しい方が大半だと思いますし、途中で辛くなったときにどうするかは考えておいた方が良いかもしれません。対処法は人それぞれなので。
効果は保証します。
その他
すでに基礎を終えた方には入門編で名前を挙げた渡辺克義著「ポーランド語作文教本」をおすすめしますが、出版社の東洋書店が倒産したため入手に少し苦労するかもしれません。
私の場合は住んでいる街の本屋さんの棚に残っていたので苦労することなく手に入れられましたが、新しくできた東洋書店新社がこの本を再版しない限りは書店から消えていく一方になるでしょう。
私が実際に使ったポーランド語の教材は今まで挙げたもの以外にもありますが、あまり役に立たなかったものは挙げていません。他は英語かポーランド語で書かれたものなので紹介しません。
しかし、ある程度上達したらポーランド語で書かれた教科書を始めた方が良いです。
一部の本を褒めながら同じ記事の中で他の本の文句を言うというのはあまりしたくないので、どの教材があまり役に立たなかったかが気になる方は当ブログのCONTACTから質問してください。