ポーランド語学習支援講座: レッスン11(ポーランド語の名詞)

文法の勉強を始めましょう。前回はポーランド語文法の特徴を紹介しましたが、今回からは具体的な話です。

ポーランド語の名詞

名詞はポーランド語の核の一つです。日本語では名詞に性と数がありませんが、ポーランド語ではどちらもあります。また、英語には数がありますが性が(ほとんど)ありません。

ポーランド語の名詞の性

ポーランド語の名詞の性は大きく分けると3種類です。ポーランド語の性に関する専門的な研究では5種類、9種類という見解も出ていますが、そこまで細かく分類してもポーランド語習得の役には立たないのでここでは3種類とします。

男性… nauczyciel(男の先生)、dom(家)、pies(犬)、smutek(悲しみ)など
女性… nauczycielka(女の先生)、ściana(壁)、wiewiórka(リス)、radość(喜び)など
中性… dziecko(子ども)、słońce(太陽)、lustro(鏡)、szczęście(幸福)など

現実で男の人を表す単語は男性名詞、女の人を表す単語は女性名詞というのが基本ですが、それ以外の名詞は現実世界と関係なく決められた性を持っています。生物でないものを表す名詞にもそれぞれ性があります。

なお、どの名詞がどの性を持っているかというのは辞書形の語尾や格変化を見ればだいたいわかります。次のレッスンでどの性の名詞がどんな語尾を持っているか見分ける方法を解説します。

ポーランド語において性は非常に重要な要素です。なぜなら、ポーランド語の特徴である語形変化は名詞の性によって異なるパターンを持つからです。

男性・女性・中性という3つの性の分類は、ポーランド語の歴史を学問の力で可能な限り遡った先にある昔の言語、インド=ヨーロッパ祖語の時代からありました。どの名詞がどの性を持つかまで完璧には一致しないものの、ポーランド語はその状態を引き継いでいるということです。

同じくインド=ヨーロッパ祖語から発展した英語では代名詞にのみ性が残っています(he/sheなど)。フランス語では中性名詞というカテゴリーがなくなり男性・女性の2種類になっています。スウェーデン語では男性と女性が融合し共性という性になり、現在あるのは共性・中性の2種類です。ドイツ語にはポーランド語と同じように男性・女性・中性の3つの性があります。

ポーランド語の名詞の数

ポーランド語には単数・複数という2種類の数があります。これは英語と同じです。単数でしか現れない名詞や、複数でしか現れない名詞もあります。

ポーランド語の名詞から複数形をつくる場合、語尾を変化させます。

インド=ヨーロッパ祖語には単数・複数のほかに2つあるものに対して使う双数というカテゴリーが存在していました。ポーランド語において双数は失われたものの、その名残は今でも見ることができます。

例えば、ręka(手)という名詞の複数形はręceで、現代ポーランド語の規則から予想される形*rękiとは異なります。これは、人の手が普通2つあることから双数形ręceが複数形に代わって残ったためです。

ちなみに、ポーランド語が属するスラヴ語派というグループのうち双数を残しているのはスロヴェニア語・高地ソルブ語・低地ソルブ語です。

 

豆知識も交えながらポーランド語には性と数があるということを説明しました。上にも書いたように、次は名詞の性の見分け方を説明します。

 

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