今回は同じスラヴ語派に属する二言語ポーランド語とロシア語を学習者目線で比較します。
タイトルでは「どっちが難しい?」と単純に書いてしまいましたが、どの言語が難しくてどの言語が簡単かというのは個人差によるところがほとんどです。
簡単な言語などないので、どちらの言語を勉強するときにどんな難点が立ちはだかるかを分析して提示するのがこの記事の目的です。
あらかじめ書いておきますが、私はロシア語がそこまで得意ではないので、両方の言語を習得した上でこの記事を書いているわけではありません。そこはご注意ください。
ポーランド語とロシア語の違い
難点を比べるためには両者の間の違いをしっかりとわかっておかなければなりません。大きな違いは次の通りです。
正書法
- ポーランド語はラテン文字で、ロシア語はキリル文字で書かれている
- ポーランド語は綴りから発音がわかるが、ロシア語は綴りと違う発音や動的アクセントなどがあるため綴りだけでは発音がわからない
- ポーランド語の正書法では同じ音から綴りが二通り考えられることがロシア語よりも多い
発音
- ポーランド語は固定アクセントで、ロシア語は動的アクセントである
- ポーランド語には子音交替が多いが、ロシア語にはあまりない
- ポーランド語には日本語と似た音がロシア語よりも多い
- ポーランド語には子音の出現率がロシア語よりも多い
- ポーランド語には鼻母音があるが、ロシア語にはない
文法
- ポーランド語は複数形を男性人間と非男性人間で区別するが、ロシア語ではしない
- ポーランド語には呼格があるが、ロシア語にはない
- ポーランド語では過去形でも人称変化するが、ロシア語ではしない
- ポーランド語では与格があまり使われないが、ロシア語ではよく使われる
それぞれの難点
以上の情報に従って、ポーランド語を勉強するときにロシア語より苦労する点・ロシア語を勉強するときにポーランド語より苦労する点をまとめてみます。
違いがあっても特に難易度に影響しない場合は書いていません。例えばキリル文字の習得は勉強を始めるまで難しそうに思えますが、実際はすぐに覚えられるものなので挙げませんでした。
ポーランド語
- 正書法が複雑
- 子音交替が面倒
- 子音の連続が多く発音しにくい
- 複数形が男性人間形と非男性人間形に分かれている
- 呼格がある
ロシア語
- アクセント位置をいちいち覚えなければならず初見の単語の場合は読み方がわからない
- 綴りと違う発音がある
- 発音が日本語と遠い
このあたりが各言語を勉強するときに難所になり得ると思います。
結論
個人的にはロシア語の方が難しいと感じていて、その理由は動的アクセントです。一点だけですが、これがあるだけでロシア語の学習がかなり難しくなります。
しかし言語は簡単だからやるというより習得したいからやるものと考える人が多いと思います。私もそうです。習得したいと思ったら難所があっても乗り越える気力が湧いてくるというのが現実だと思います。そしてそこが言語をやる醍醐味ではないでしょうか。