ポーランド語学習支援講座: レッスン4(子音の発音・理論)

前回は母音の発音を解説したので、今回は子音についてです。

ポーランド語の子音体系

ポーランド語は子音に富んだ言語です。しかし、子音の一覧を暗記する必要はありません。それは言語学者の役割です。

ポーランド語では、有声子音無声子音、そして硬子音軟子音を区別する必要があります。特に硬子音と軟子音は難しい概念なので、必要最低限の説明をします。

硬子音

硬子音と軟子音の違いは、「ポン吉」と「ピョン吉」の違いです。この2つをローマ字表記するとponkichiとpyonkichiですね。この二つの違いはpの後にyがあるかどうかです。ここでyを使って表されているのが軟音性です。つまり「ポン吉」の最初の子音はpの硬子音、「ピョン吉」の最初の子音はpの軟子音というわけです。

これ以上の説明は専門的になってしまうので、ここまでにしておきます。ポーランド語の硬子音の一覧を見てみましょう。

p / b – 英語と同じ
m – 英語と同じ
f / w – 英語のf / vと同じ
t / d – 英語と同じ
s / z – 英語と同じ
n – 英語と同じ
r – 巻き舌の「ル」
k / g – 英語と同じ
ch, h – 喉から息を出す「フ」。日本語の「フ」とは違う

wとchの発音に注意してください。

スラッシュで区切ったのは無声子音 / 有声子音のペアです。ペアになっている子音は発音方法が同じで、声帯が振動する(有声)かしない(無声)かという点のみ異なります。日本語の「か」と「が」、「た」と「だ」などの違いを考えると理解しやすいでしょう。

軟子音

p’ / b’ – p / bの軟子音
m’ – mの軟子音
f’ / w’ – f / wの軟子音
ć / dź – t / dの軟子音
ś / ź – s / zの軟子音
ń – nの軟子音
k’ / g’ – k / gの軟子音
ch’, h’ – ch, hの軟子音
r’ – rの軟子音
(l’ – lの軟子音) ※これはlのバリアントでしかないので気にしなくて大丈夫です。

ここでも無声子音 / 有声子音のペアをスラッシュで区切りました。

なお、ポーランド語を勉強している人の中にはロシア語をやったことがある人も少なくないかもしれませんが、ポーランド語の軟子音はロシア語よりも軟らかくて響きが大きく異なるので注意が必要です。私はロシア語の軟子音の発音の方が苦手です。

歴史的軟子音

教科書では「機能的軟子音」という名前になっているはずです。私はこの用語が学習者の混乱を招くと思っているので、「歴史的軟子音」と呼んでいます。実際ポーランド語でもこの二通りの呼び方をします。

歴史的軟子音とは、「現代では硬子音だけど昔は軟子音だったんだよ」というグループです。名詞が変化するときに重要になってくるので独立したグループとしてまとめられています。

c / dz – 「ツ」「ヅ」
cz / dż – 「チュ」「ヂュ」※日本語とは違い舌先を上に向け軽く反り返らせる
sz / ż – 「シュ」「ジュ」※日本語とは違い舌先を上に向け軽く反り返らせる
rz – 「ジュ」※”ż”と同じ発音
l – 英語と同じ

これもスラッシュは無声子音と有声子音のペアを示しています。

半母音

半母音は「子音の役割をするものの子音の特徴である呼気のブロックが行われない」グループで、子音の一種とみなされます。日本語の「や」「ゆ」「よ」「わ」にも出てきます。

ł – 英語のwと同じ
j – 英語で母音の前にくるyと同じ(you, year, yenなど)

なお、łは硬子音、jは軟子音に分類されます。

 

理論だけでは実感がつかめないと思うので、次回はこれらの子音が実際に使われている例を紹介します。

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