ポーランド都市紹介: Katowice(カトヴィツェ)

今回は私が留学していた街・カトヴィツェの紹介です。

カトヴィツェ

駅前です。

ポーランド語名称: Katowice (カトヴィツェ)
所属県: シロンスク県
人口: 約30万人(2017年)

カトヴィツェの概要

カトヴィツェはポーランドの主要都市の一つで、かつて鉱山業で栄えました。クラクフまではバスで1時間程度と近い距離にありますが、クラクフがマウォポルスカ地方に属するのに対してカトヴィツェはシロンスク地方に属するので、ポーランドが分割されていた時代は別々になっていました。

ワルシャワまでも遠くなく、電車で3時間弱の距離です。また私はカトヴィツェに住んでいて週末にはヴロツワフに通っていましたが、電車で2時間ちょっとでワルシャワに行くよりもかなり値段が安かったので便利でした。

カトヴィツェ周辺には人口が多めの小さな町が集まっており、カトヴィツェとそれらを一括りにしてシロンスク大都市圏ということもあります。

カトヴィツェの特徴

カトヴィツェは他の歴史ある街と比べて統一感がなく見えます。古い建物と先進的な施設が混在しているのがその理由で、社会主義的な雰囲気の場所もあれば近未来的な場所もあります。

カトヴィツェは比較的大きい街ですが、観光客はほとんど来ません。そのため、カトヴィツェにいる外国人は留学生や外国語講師です。アジア人を見ても当たり前のようにポーランド語で話しかけてくることが多いです。

またシロンスク地方の特徴として当たりの強い人が多いので、ワルシャワなどとはまた違った印象を受けるかもしれません。

カトヴィツェの交通

カトヴィツェの公共交通機関はバスとトラムからなっていますが、トラムはあまり便利でないといえます。しかし隣町などにトラムで直接行けることがあるので利用者は多いです。ただし、トラムは速度が遅いので時間がかかります。バスは市内をくまなく網羅しています。チケットは共通です。

シロンスク大都市圏内では同じ会社がバスやトラムを走らせているので、市内と同じチケットで圏内全体を移動することができるのが非常に便利です。

カトヴィツェ観光

カトヴィツェは観光都市ではないのであまり見所がありません。しかしシロンスク博物館はおすすめで、展示内容が豊富なので何時間も楽しむことができます。また、カトヴィツェに来た場合は近郊の炭鉱博物館(ブィトムのGuido)を訪れるのもいいかもしれません。

まとめ

カトヴィツェは観光都市ではない上に近くにクラクフがあるので、日本人が旅行に来た時の行き先としてはあまり選ばれないかもしれませんが、私が住んでいた街ですし紹介してみました。

ポーランド都市紹介: Kraków(クラクフ)

クラクフ

中央広場です。

ポーランド語名称: Kraków (クラクフ)
所属県: マウォポルスカ県
人口: 約76万人(2017年)

クラクフの概要

クラクフはワルシャワに続いてポーランド第2の都市で、文化の中心地です。観光客に人気で、ヨーロッパの複数の国を旅行をする場合にワルシャワに行かずにクラクフを観光する人やツアーも多数存在します。

日本に例えると、ワルシャワが東京だとしたらクラクフは京都のようなものです。ワルシャワからは行程にもよりますが電車で2~4時間ほどです。

1795年にワルシャワが首都になる前、ポーランドの首都はクラクフに置かれていました。クラクフにあるヤギェウォ大学は1364年に創立されていて、ポーランドで最も古い大学であり世界的に見ても最も古い大学の一つです。日本人もここに留学しているようです。

クラクフの特徴

クラクフは豊かな歴史と文化を持っており、街の雰囲気にも統一感があります。
街にはワルシャワと同じくヴィスワ川が流れていて、公園や自然にも満ちているので都会らしい印象はあまりありません。

ワルシャワに続く規模の街ということで、何でも見つかりますしどこも賑わっています。英語を話す人が多いのもクラクフの特徴で、私はポーランド語の方が得意なのにアジア人の見た目のせいで英語ばかり使われました。

美しい教会も市内に点在しているので、教会巡りが好きな方も満足できると思います。

クラクフの観光

歴史的な建造物などがたくさんありますが、観光の中心になるのは中央広場聖マリア聖堂ヴァヴェル城、そしてユダヤ人地区であるカジミェシュあたりだと思います。

聖マリア聖堂は内装の豪華さも見ものですがさらに展望台に登ることができ、そこからクラクフの街を見下ろすことができます。一番上に載せた写真も聖堂の展望台からの景色です。

ヴァヴェル城はグダンスク近郊にあるマルボルク城に次いでポーランドで二番目の大きさを誇る城で、クラクフのシンボルでもあります。旧市街を南に出てすぐのところにあるので行ってみるべきです。

中央広場は広大で、馬が走っているなどまるで中世のような雰囲気があります。イベントがあるときに行くとさらに面白いかもしれません。

まとめ

私はクラクフからバスで1時間のところにあるカトヴィツェに住んでいたにもかかわらず、今まで合計で3回しかクラクフに行ったことがありません。それでも、ヨーロッパらしい都市だなという強い印象が残っています。行ったのは秋とクリスマス前、そして冬ですが、クリスマス前のクラクフは非常に綺麗でした。秋も良かったです。

ポーランド都市紹介: Wrocław(ヴロツワフ)

私が住んでいた街・ヴロツワフの紹介です。ヴロツワフは美しい上に便利な街なのでポーランドで一番気に入っています。

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ポーランド語歴史文法: nieboがw niebiosachになる理由

ポーランド語にはnieboという単語があります。これは「空」または「天国」を表します。

しかしこの単語は特殊で、宗教的な文脈などでは複数形の活用が異なり、特にw niebiosachと複数形前置格で使われることがよくあります。w niebiosachだけでなく、あまり使われませんがw niebiesiechも可です。

このような形はどこから来ているのかを説明します。

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ポーランド語の動詞の過去形における例外的な読みについて

ポーランド語の動詞の過去形

ポーランド語には、-ąćで終わる動詞がいくつもあります。

ここでは、動詞zająć(占める)を例にその過去形の発音を紹介します。

zajął (単数男性)
zajęła (単数女性)
zajęło (単数中性)
zajęli (複数男性人間)
zajęły (複数非男性人間)

変化を覚えるのは難しくないと思います。では、これらの形はどう読むでしょうか?

zajoł
zajeła
zajeło
zajeli
zajeły

読みはこうなります。このことを知っている人は多いかもしれません。青く示したところに注意してください。

ポーランド語は基本的に綴りを見れば読み方がわかる言語ですが、非常に少ないながらも例外は存在します。これはその一つです。

語幹になぜą, ęという2つのバリアントがあるのかは今回のテーマではないので省略しますが、動詞の過去形で鼻母音の後にł, lがくる場面では鼻母音が鼻音性を失います

そのためąはo、ęはeと発音されます。ą, ęのまま発音すると間違いになります。

ここで注意しておかなければいけないのが、鼻音性を失ったąはoでありaではないということです。これはポーランド語の正書法によって起こる問題で、ポーランド語のąは音韻的にはoの鼻母音で、記号ではǫと表されます。

これだけ覚えておけば、鼻母音が鼻音性を失う規則自体は難しくないので正しく発音できるはずです。

この記事では動詞の過去形における鼻母音の発音について扱いましたが、ポーランド語の鼻母音の発音にはもう一つ気をつけなければいけない規則があります。

それは、語末のęも鼻音性を持たないということです。実はポーランド人にもこのęを鼻母音として発音する人が多く、それが間違いであることを知りません。

ポーランド語歴史文法: 動詞の過去形における母音交替について

動詞の過去形

ポーランド語の動詞のうち、-ećで終わるものは過去形において語幹に2種類のバリアントがあります。

例えばmieć(持つ)という動詞では、

miał    (単数男性)
miała  (単数女性)
miało  (単数中性)
mieli   (複数男性人間)
miały  (複数非男性人間)

というように複数男性人間以外でa、複数男性人間でeが現れています。
他にもsłyszeć(聞く), krzyczeć(叫ぶ), obejrzeć(見る), myśleć(考える)などの動詞で同じパターンが現れます。

このe : aという母音交替はどこからきているのでしょうか。

ポーランド語の音韻変化

ポーランド語ではおよそ9世紀から10世紀の間にprzegłos lechickiという音韻変化が起きました。これはポーランド語が属するレヒト諸語全体で起こった変化で、現在残っている他のスラヴ諸語(カシューブ語を除く)には存在しません。

これは*ěが軟子音の後かつt, d, s, z, n, r, ł の前でaに変化するというものです。

現代ポーランド語におけるe : aの母音交替は全てここから来ていて、wiatr(風)が前置格でwietrzeになるのも、światが前置格でświecieになるのも、miastoが前置格でmieścieになるのもprzegłos lechickiの影響です。

przegłos lechickiの全体像については今後独立した記事を書きますが、ここで大事なのはこのタイプの動詞がほとんどの場合元々*-ětiという終わり方をしていたということ、そして過去形に現れるłの影響でěがaに変化し、lの前で変化せずに残ったěはeと同化したということです。

現在ではaが4つの形で現れる一方eは1つの形(複数男性人間)でしか現れないのでeが例外のようにも見えますが、歴史的にはaの方が後からできたのです。

ポーランド語歴史文法: 単語ojciecについて

今回はポーランド語の単語をテーマとして取り上げ、その成り立ちを歴史文法の観点から説明する記事です。今後このタイプの記事を複数書いていくことになると思います。

今回はojciec(父)という単語です。

ロシア語を知っている人ならこれがロシア語でотецなのを知っていると思います。これをポーランド語に規則的に直すとociecとなるはずですが、現代ポーランド語ではojciecです。それがなぜなのかは、この記事を読むとわかります。

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カウナスでのリトアニア語学習教材狩りの収穫

こんにちは。リトアニアから帰ってきたばかりなのでリトアニアの話題ばかりです。
今回はカウナスで手に入れた、リトアニア語の勉強に役立ちそうな品物を紹介します。

※これは2017年に書いた記事をそのまま持ってきたものです。

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リトアニアでロシア語の新聞を買いました

私はロシア語を軽く勉強しており、その記事も少し作りたいなと思ったので今回はロシア語です。

※これは2017年に書いた記事をそのまま持ってきたものです。

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ポーランド語の文法用語: 動詞関係の用語

今回はポーランド語の動詞に関する文法用語集です。
まだ学習が初期段階の方には難しい内容になりますので、先に断っておきます。

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